子どもの頃から憧れていた「病児保育」の世界へ【インタビュー】

子どもの頃から憧れていた「病児保育」の世界へ【インタビュー】

【プロフィール】
佐藤志保 NPO法人フローレンス こどもレスキュー隊員
1988年生まれ。保育専門学校を卒業後、幼稚園へ就職。その後、フローレンスの病児保育スタッフへ転職。現在は保育を行う一方で、新人研修も担当している。得意な保育は製作。趣味はダンス、プチ旅行。最近はハマっていることは、友達とドライブで美味しいもの探しの旅。

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夢を叶えるためのキャリアを着実に積んでいく

-病児保育をやってみたいと思ったきっかけは何ですか?

ドラマで見た病棟保育士※1に憧れて、病気のお子さんを預かることをやってみたいと思い、保育の専門学校に進みました。進路を考えていた時に、専門学校の先生に「はじめは健康なお子さんの保育を数年やってみるといいよ」というアドバイスをもらって、まずは経験を積もうと思い、幼稚園へ就職しました。
※1病棟保育士
病院などの医療機関に勤務して、入院中のお子さんへ保育を行う保育士の総称

幼稚園では4年間クラス担任として働きました。年中さんのクラスを持っていた時は、35名のお子さんを私一人で見ていたので、毎日てんやわんやでしたね。親御さんへの帰りの引き継ぎも、特に大きなことがなければ「今日も元気でしたー!」という感じで、必要最低限になってしまって。仕方のないことかもしれませんが、もどかしかったですね。

保育園でもできることはたくさんありましたが、違う保育のカタチならもっと丁寧な関わりができるのかなと感じる日々でした。担任していた子たちが卒園するタイミングで、「やっぱり自分のやりたかった病気のお子さんを預かる仕事をしよう!」と思い、マンツーマンで病児保育ができるフローレンスに入社しました。

幼稚園時代に蓄えた「遊びの引き出し」で、初めて会うお子さんも笑顔に

-保育の中で心がけていることはどんなことですか?
病児保育では、楽しい時間を提供することと同じくらい、体を休ませることも大事だと思っています。製作やカードゲームなどの落ち着いた室内遊びをすることが多いですね。その中でも得意なのは、折り紙です。アンパンマンシリーズは一通り折れるようになりました。ちょっと機嫌が悪いお子さんでも、作ったアンパンマンをポケットに忍ばせておいて「見てみて!」と声をかけると、それだけでちょっと興味を惹けて、だんだんと笑顔になってくれるんです。他にも、トイレットペーパーの芯を家から持っていくこともあります。2本の芯を、好きな色の折り紙で巻いてもらうと、あっという間に双眼鏡のできあがり!回復期の男の子だと元気が有り余っているので(笑)「あっちの方、見てみようよ」と、お家の中を一緒に探検して、外に出なくても飽きずに遊べます。

-遊びのレパートリーが多くて、お子さんも楽しそうですね!
幼稚園時代に蓄えた遊びの引き出しの中から「次はどんな遊びをしよう?」と考えられるので、専門学校の先生が言っていた通り、まずは経験を積んでよかったなと感じます。

フローレンスに転職したばかりの頃は、幼稚園の頃とは違って、毎回違うお子さんとの保育に不安がありました。でも、先輩スタッフや本部のみなさんがサポートしてくださるので、少しずつ慣れて自分自身も楽しめるようになりました。半年くらい経って、お子さんによって距離感や声かけの仕方がちょっとずつ違うのだということに気づき、新しい子と仲良くなる力は、だんだんついてきたのかなと思いますね。

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プライベートも充実するからこそ、保育の現場にも集中できる

-訪問型のお仕事に変わって、なにか生活に変わりはありましたか?
幼稚園に勤めていた頃は行事が多くて、行事前の準備がとても大変でした。残業するのは禁止だったので、こっそり持ち帰ってやっていました。フローレンスに転職して、持ち帰りの仕事がなくなり生活が変わりました。帰ってからは「自分の時間!」とメリハリをつけられます。

このお仕事にもだんだん慣れてきたので、ダンスのレッスンにも通い始めました。中学生の頃から習っていたのですが、忙しかったこともあって、社会人になってからは少しお休みしていました。余裕が出てきて、また大好きなダンスが出来て嬉しいです。レッスンは水曜日なので、保育の後に通ってます。レッスンが始まる前に、フローレンス本部からメールで送られてくる翌日の保育依頼を確認して、1時間半踊って、帰ってすぐ寝ます(笑)土日は完全にお休みなので、友人と飲み会に行くこともあります。仕事モードを一度オフにすることで、また来週もがんばろう!と切り替えられます。

本当に困っている人を助けられた、と思えるのは「病児保育」だから

-どんなときにやりがいを感じますか?
このお仕事をしていてやりがいを感じるときは、お子さんにも親御さんにも喜んでもらえるときですね。

親御さんの中には、病気のお子さんをお家に残して出勤することにどこか後ろめたい気持ちや心配な気持ちがあるかもしれません。しかし夕方、親御さんが帰宅されて、お子さんがニコニコと「おかえり~」と玄関まで行くと、ほっと安心してくださいます。一日が楽しかったのだということが、お子さんの笑顔で伝わるんです。「本当に助かりました!」と感謝の言葉をいただけることもあって、一日の保育にとてもやりがいを感じられます。幼稚園で働いていた時以上に、みんなで助け合っているのだと思えて、達成感がありますね。

特に印象に残っているのは、保育後のアンケートで、親御さんから「娘が、ドアが閉まってからもバイバイと言っていました」と書いてもらえた時です。1歳半の女の子だったのですが、私自身もその日とっても楽しくて。お子さんと関係が築けたのかなと感じていたので、アンケートを読んだときにはさらに嬉しかったのを覚えています。

憧れだった病児保育のお仕事をして、日々やりがいを感じられる上に、お仕事以外の時間は自分の好きなことができて、今はとても充実しています。これからも、どちらも全力で楽しんでいきたいと思います。

-訪問型病児保育のお仕事を目指す人へメッセージをお願いします。

保育のお仕事は簡単ではありませんが、子どもたちの笑顔にふれあえる、とてもやりがいのあるお仕事です。その中でも病児保育のお仕事は、お子さんの様々な気持ちや症状を考えた上で関わっていかなくてはいけません。病気に対する知識も大事ですが、病気で心細いお子さんに寄り添ってあげられる素敵なお仕事です!自分の得意分野を見つけ、みなさんなりの方法でお子さんを笑顔にしてあげてください!

【団体概要】
認定NPO法人フローレンス
2004年より子どもが病気の際に保護者の代わりに保育を行う病児保育事業を開始。以後、少人数の保育園「おうち保育園」の運営、障害児専門の保育園や訪問保育を行う障害児保育事業、孤独な子育て問題を解消するためのコミュニティ創出事業、子どもの虐待死を防ぐ赤ちゃん縁組事業をなど、「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」をミッションに、事業を展開している。 
フローレンスの病児保育
http://byojihoiku.florence.or.jp/ 

INFORMATION

-認定NPO法人フローレンスの病児保育スタッフを募集しています-
採用情報 http://florence.or.jp/lp/staff/

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著者プロフィール

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スゴいい保育編集部
「スゴいい保育」を通じて保育という仕事の素晴らしさを伝えていくことにチャレンジするチーム。日本中の色んな「スゴい!」「いい!」保育を日々探し、みなさんに紹介します。

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