子どもも親もスタッフも「自分らしくいられる場所」を目指して【インタビュー】

【プロフィール】
渡辺真里奈(26歳)1989年生まれ、放課後NPOアフタースクール現場スタッフ。大学では社会学・心理学・体育学を総合的に学ぶ人間科学部を卒業後、公立の学童クラブや保育園で勤務。その後、現在の所属である放課後NPOアフタースクールに現場スタッフとして入職し担当校の子どもたちの預かりと体験プログラムの企画・実施を行う。趣味は山登り。

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子どもたちのたくさんの興味と、自分の限界を知った、社会人1、2年目

-今までのキャリアを教えて下さい
社会人1、2年目は公立の学童と保育園で働いていました。そこで出会った子どもたちの中には、虫にすごく興味がある子もいれば、ものをつくるのことに熱心な子など、いろんな子がいたんです。でも、周りの保育士さんや私自身、保育や教育以外の専門知識を持っているかといったら、そうでもなくて。私たちは保育や教育のことを学んできたかもしれないけど、例えば昆虫のことを聞かれて答えてあげられないこともある。そういったところで、自分には限界があると思うようになりました。そんなときに、現在勤務をしている放課後NPOアフタースクールを知ったんです。ここでは、保育や教育を専門に学んできた大人だけじゃなくて、それぞれの分野のプロの方たちと子どもたちをつなぐことができます。そういった形でなら自分ももっと子どもたちの世界を広げることができるんじゃないかと思い、入職を決めました。 

子ども・保護者・市民先生との関わり

-今の仕事について教えて下さい
現在の仕事は、子どものこと、保護者のこと、市民先生(※1)のことと大きく分けて3つあります。まず、子どものことはおやつのメニューを考えたり、宿題のサポートを行ったり、一緒に過ごす中で、子どもたちにとってより良い環境づくりをしていきます。次に保護者に対しては「子どもたちはこんな様子ですよ」「こういった気になることがあるのですが、おうちではどうですか」といったように、保護者の方と話をしたりしてつながりを持つようにしています。子どもたちの活動もブログ(※2)を使って保護者に発信しているんですよ。

最後に、市民先生との関わりです。子どもたちからこういうプログラムをしたいという声や、今こういう遊びに夢中だなという様子を受けて、先生を探し、交渉し、実際に来てもらうということをしています。

※1市民先生とは
渡辺さんの所属する放課後NPOアフタースクールでは、子どもたちのやりたいことを叶えるため、様々な知恵や技術を持った大人を「市民先生」として招き様々な体験プログラム行っている。

※2渡辺さん担当校ブログ
http://www.tokiwamatsu.ed.jp/afterschool/

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学校とおうちだけじゃない、子どもたちの居場所

-今の仕事に就いてみて実際どうですか?
放課後の時間にはいろんな学年の子どもがいるし、スタッフも1人ではありません。ですので、子どものそのときの感情でいろいろな人のところに行けるということは、すごくいいなと思っています。例えば、悲しいことがあってトイレに逃げ込んだときに、様子を見に来てくれる友達がいるとか、仲の良い子とけんかしちゃった時に、普段そんなに関わりのない子がフォローしていたり。

また、スタッフも人それぞれ色がちがうので、子どもたちは「今日はこの先生に甘えたい気分だな」と思えばそうすることができるんです。
子どものそのときの感情でいろいろな人のところに行けるということは、すごくいいなと思っています。

-やりがいなどを感じるときはどんな時ですか?
アフタースクールは学校やおうちとは違う子どもたちの居場所です。ですが、アフタースクールで仲良くなった違うクラスのお友達と、学校でも仲良く過ごしていたり、アフタースクールであった出来事をおうちに帰ってから家族に話したりしておうちでの会話が増えた、という話を聞くこともあります。そのようなときには、その子のいろんな時間にアフタースクールで過ごした時間がつながっていってるんだなということが実感できて、やりがいを感じますね。

親子が「ちょっと息抜きできる場所」

-今後やっていきたいことなどはありますか?

子育てをしているとうまくいかないこと、思い通りにいかないこともあると思います。でも、そんなときに「一緒に成長を見守っていきましょう、大丈夫ですよ」「どうしたらいいか一緒に考えていきましょう」と声をかけて、少しでも親御さんの気が楽になれる場所にしたいですね。
親御さんは家事に仕事に子育て、色んなことを頑張っていて、子どもは子どもで勉強や習い事を頑張っていて、親も子も無意識に気を張る時間が多いんじゃないかと感じます。だからこそ、アフタースクールの存在が「ちょっと息抜きできる場所」になったらいいなと思っています。子どもに携わる専門的な仕事として、集団の中にいるその子も見ているので、そこから伝えられることもあります。「完璧じゃなくていいんだよ」っていうことを親御さんにも子どもたちにも伝えていきたいです。

-気をつけていることがあれば教えて下さい

子どもの周りにはいろんな大人がいて、いろんな形で関わりを持っていますが、最終的にはやっぱりお父さんお母さんに大切にしてもらいたい、お父さんお母さんの笑ってる顔が見たいっていうのが一番にあると思うんです。だからこそ、お家の人には話せないこともあるんだと思います。「将来はお父さんと同じ仕事をしたいんだ!かっこいいから!」といった嬉しい言葉はもちろん、「本当はやりたくないけど、それをいったらお母さんが悲しむから言えない…」といった気持なども、子どもの心の機微を代弁して親御さんに伝えられるよう、子どもたちの気持ちに寄り添っていられるようにしています。
子どもが学校でみせる顔とおうちでみせる顔、学童でみせる顔って結構違うことがあるんですよ。学校の先生と話してても、そんな一面があるんですねと驚いたりすることもあって。
例えば、お家の人は一人っ子だから年下の子のお世話をするのは苦手だと思っていても、学童では年下の子にとてもやさしくしていたりとか。保護者の方は家庭の中にいる自分の子しか知らないから、みんなの中にいるときってこういう顔するんだ、ということがやっぱりわかりにくいと思うんです。いろんな姿を伝えていくことで、保護者の方が自分の子どもを違う角度からみるきっかけにもしてほしいと思っています。

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子どもたちにとって、 ひとり一人の時間を尊重できるような空間でありたい

-活動をする上でのこだわりなどあれば教えて下さい

学校では授業を受けて、おうちに帰ったら、お風呂に入ってご飯を食べて、と子どもにとっては日常でしなければいけないことがたくさんあると思うので、放課後の時間は何にも縛られない自由な時間を確保したい、という思いがあります。大人は良かれと思って言ってることもありますが、大人の理想を押し付けることはしたくないんです。
例えば、集団遊びをはたからみたら、「みんなで遊んでていいな」と大人は思うかもしれませんが、「学校ではみんなで過ごしてたから、今はちょっと一人でゆっくりしたいんだよ」という子どももいます。一人でいたいからいるのか、お友達と遊びたいけど声をかけられなくて一人でいるのか、というのが見てわかるときもあれば、わからない時もあります。
そういうときはたわいもないことを話すことで、直接的に本人に気持ちを聞かなくても「今はどんな気持ちなのかな」っていうのがわかるので、なんでもない会話をいっぱいしようと心がけてます。そして、アフタースクールがそんなひとり一人の時間を尊重できるような空間でありたいなと思っています。

-他にはありますか?
あとは、もっと子どもたちに遊びを深めてほしい。深めた先にある楽しさを知ってほしいと思っているので、そのきっかけをつくりたいです。例えば一輪車に乗れて、できることの中でいろんな遊びをするのももちろん楽しいと思います。でも、もっと先の世界があることを知ったらさらに興味が広がっていくと思うんです。どの遊びでもそうですが、世界を広げて見てみると同じ小学生でももっとすごいことをする子がいます。そういう子と出会う機会も今後つくっていきたいですね。

自分の育ってきた環境やそれまでに経験したことが、絶対に活きてくる仕事

-この仕事に興味がある方にメッセージをお願いします

やってみないとわからないので、この仕事に興味のある人には、ぜひ勇気を出して踏み込んでほしいと思います。いろんな子どもや保護者と関わっていく中で、見えてくるものもあります。やってみて、自分の無力さを感じたりもすることもあるかもしれませんが、何もできないわけではありません。学童の自由な時間にはいろんな子どもがいるので、自分が育ってきた環境やそれまでに経験してきたことが絶対に活きてくる。それを必要とする子も絶対にいます。
私は4人家族で育ちましたが、大家族で育った人もいれば、母子家庭のおうちで育った人もいます。習いごとを忙しくやっていた人もいれば、そうじゃない人もいたりとか。自分の中の当たり前にとらわれず、同じ出来事でもこれをいいなと思う子もいれば、これはやだなと思う子もいるんだろうなと、子どもから見える世界に思いを馳せられる、想像できる人にはいいかもしれません。
自分らしさや自分が大事にしていることを強みにして、活躍できる部分があると思うので、まずはやってみてほしいです。やってみて、やっぱり学童じゃないって思っても、その経験はいつか絶対活かせますよ。

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【団体概要】
放課後NPOアフタースクール
http://npoafterschool.org/
2009年法人設立。様々な体験ができる学童保育を放課後の小学校で行う「アフタースクール」と企業と子どもたちの世界をつなぐ「企業連携子育てプロジェクト」を展開。「社会で子どもを育てる」をコンセプトに小学校の放課後改革に挑戦している。
〒105-0004
東京都港区新橋6-18-3 中村ビル2F
TEL:03-6721-5043


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著者プロフィール

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スゴいい保育編集部
「スゴいい保育」を通じて保育という仕事の素晴らしさを伝えていくことにチャレンジするチーム。日本中の色んな「スゴい!」「いい!」保育を日々探し、みなさんに紹介します。

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