子どもを取り巻く環境を良くしていきたい【インタビュー】

子どもを取り巻く環境を良くしていきたい【インタビュー】

【プロフィール】
髙橋美里 認定NPO法人フローレンス 病児保育事業部
1990年生まれ。四年制大学保育科を卒業後、エステ会社へ新卒入社。その後、認定NPO法人フローレンス保育スタッフへ転職。現在は病児保育事業部本部スタッフとして勤務。感染症の流行期には保育スタッフとして現場へ。趣味は写真と料理。最近は料理マンガがマイブーム。

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新卒で保育ではなく、エステサロンのコンシェルジュへ

-以前はどのようなことをしていたのですか?
新卒で社会人になって1年間、エステサロンででマネジメントをしていました。コンシェルジュという職種でパリッとしたスカートスーツを着て、VIP対応をしたりスタッフ管理をする仕事です。今の仕事とは全く違いますね。

実は福祉系大学を卒業し保育士資格も持っています。育った幼稚園が森の中にあり、周りが自然いっぱい。ひたすら遊びたいこと、つくりたいものを創るような自由な幼稚園でした。そこでとてもよい担任の先生に出会ったことがきっかけで小さい時から保母さんになりたいと思っていました。

学生時代から、保育そのものだけでなく子どもを取り巻く環境に興味がありました。子どもを幸せにするには、親がまず幸せでいることが大切だと感じていました。そのためにどんなことができるだろうと色々調べていたら、介護の授業にケアの一貫としてマッサージがあったんです。その時にエステサロンで働いている先輩が来てくれたことがきっかけで、大学に通いながらダブルスクールとしてエステの勉強を始めました。エステの技術を覚えること自体がとっても楽しくて、それに加えて、実際にエステを施術すると人が気持ちいい~と喜んでくれる。楽しいことで人を幸せにできるっていいなと思いました。

仕事として最初にエステサロンを選んだのは業界的にエステは年齢的な若さが求められるので、保育を仕事にするのはもう少し先でもいいかな、と思ったから。
でも現実はエステサロンで技術職ができたのはほんの数ヶ月。コンシェルジュ職に異動しVIP対応をしながら、やっぱりもっと直接的に子どもや親のためになる仕事をしたいという思いが強くなっていきました。

エステサロンのコンシェルジュ職から保育業界へ転身

-そこからフローレンスに転職したきっかけは?
フローレンスのことは高校生の時から知っていました。そもそも私の興味が「保育そのもの」だけでなく「子どもを取り巻く環境」まで広がったのは、フローレンス代表駒崎さんに影響を受けたから。
図書館で偶然手にとった本の一冊が駒崎さんの本。読み終わった瞬間に、自分が興味のある保育の領域で「理想を事業として具現化している人がいる!」と感動したんです。子どもを取り巻く環境全てを変えていこうとするのが駒崎さん流。私も駒崎さんみたいになりたい!と思いました。

エステサロンのコンシェルジュ職に行き詰まっていた時に、フローレンスの求人があり実務未経験ですが思い切って応募しました。いつかは社会起業家である駒崎さんの間近で働きたいという思いもありました。
フローレンスでの採用は新規事業として立ち上げ期であった「障害児保育園ヘレン」の保育スタッフ。学生時代の保育実習で、障害児施設は子ども2人に対して先生1人の配置で、子どもたちの成長を1つ1つみんなで喜ぶような手厚さをとても良いと感じていました。保育の実務経験はなかったのでポテンシャル採用だったと思います。当時のフローレンスは新卒採用はしていなかったので、中途社員として社会人2年目での採用は、自分にとっても一番いい道だったと思っています。

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(エステサロン時代:右上)

現場経験のある本部スタッフを目指して

-現場保育スタッフから本部スタッフへの転身の意図は?
もともとフローレンスに応募したときから本部スタッフの仕事をしたいと思っていました。でも現場を支えるためには現場の仕事を知る必要があると思っていたので、2、3年は保育の現場で経験を積もうと、現場に飛び込みました。障害児保育園ヘレンの立ち上げ期を通じて、世の中にない保育の形を作っていく難しさ、現場と本部のコミュニケーションの難しさも経験しました。思いがけず、本部スタッフの仕事に声がかかり、願い通り現場を経験してから本部での仕事に就くことができました。

保育×IT×コミュニケーションを掛け合わせた稀少な存在を目指す

-現在はどのようなことをしているのですか?
今は病児保育事業部で新しい保育サービスの立ち上げ、病児保育スタッフの採用、病児保育のコールセンター業務を担当し、全社横断のプロジェクトにも参加しています。病児保育で保育スタッフが足りなければ保育現場にも行きます。自分で改めて挙げてみてもかなり業務の幅が広いですね。重宝がられる「なんでも屋」になってしまうリスクもありますが、これはチャンスだと思っています。

私は三度のご飯より子どもが好きです。でも、現場一筋のプロになることは少し違うなと感じて本部スタッフの仕事を選びました。保育に加えて複数分野の強みを持ちたいと思っています。狙うは保育×IT×コミュニケーションを掛けあわせた稀少な存在。今の幅広い業務を通じてITやコミュニケーション力を強化していこうと思います。

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スタッフを笑顔にすることがお子さんや親御さんの笑顔につながる

-本部スタッフとしてのやりがいを教えてください。
本部で働く私の目の前にはお子さんや親御さんはいませんが、スタッフを笑顔にすることが、お子さん・親御さんの笑顔に必ずつながると信じています。
最前線の保育現場が困っていることを仕組みで解決し、縁の下の力持ちとして支えられている実感が得られると、とっても嬉しいです。
本部スタッフの仕事は、お子さんを直接保育することだけでは実現できない、もっと多くの人を救うことにつながる仕事だと感じています。

「子どもが好き」に「得意なこと」を足せば保育の仕事は幅が広がる

-保育業界を志す方々へ何かメッセージをお願いします。
好きなものを仕事にするかは悩むところだと思います。私もそうでした。
今は子どもが好きという気持ちと、ITやコミュニケーションなど自分の得意分野と、ちょうどいい距離の仕事に就けています。「子どもが好き」という気持ちに「外遊びが好き」「企画を考えるのが好き」など自分の得意なことを足していくと、保育の仕事もどんどん幅が広がります。その中で一番自分の理想に近いカタチで、大好きな子どもたちのためになる仕事ができれば最高ですよね。

【団体概要】
認定NPO法人フローレンス
2004年より子どもが病気の際に保護者の代わりに保育を行う病児保育事業を開始。以後、少人数の保育園「おうち保育園」の運営、障害児専門の保育園や訪問保育を行う障害児保育事業、孤独な子育て問題を解消するためのコミュニティ創出事業、子どもの虐待死を防ぐ赤ちゃん縁組事業など、「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」をミッションに、事業を展開している。

INFORMATION

-認定NPO法人フローレンスのスタッフを募集しています-
採用情報 http://florence.or.jp/staff/

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著者プロフィール

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スゴいい保育編集部
「スゴいい保育」を通じて保育という仕事の素晴らしさを伝えていくことにチャレンジするチーム。日本中の色んな「スゴい!」「いい!」保育を日々探し、みなさんに紹介します。

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