【オーストリア発】1歳から10歳の混合保育。”真似”と”刺激”が発達にもたらす影響。

Grüss Gott! オーストリアから今日はユニークな託児所をご紹介したいと思います。素晴らしい環境の中でのびのびと1歳から10歳までが、ひとつの屋根の下で午後過ごす「キンダーハウス」です。どんなサプライズがあるのでしょうか?
まずは園の概要からお伝えします!

「学ぶこと」は「真似ること」!1歳から10歳までの縦割り保育の概要

立地

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ウィーン郊外に位置するため、森がすぐ近くにありまるで保養所のようなロケーション。空気は澄んでいておいしいし、子どもを育てる環境としてはパーフェクト!

保育理念
イタリア人、初の女性医学生で、後には「障害児治療教育者」となって活躍をしたマリア・モンテッソーリの理念を継承しています。全ての教材はお仕着せではなく、彼女が開発した手製の遊具で、各々の興味のある遊びを自由にさせています。「自分の事は自分でしましょう!」がモンテッソーリのモットーですからアイロンや掃除機などもミニサイズが用意されていて、必ず同じ場所に保管して自分でアイロンがけを積極的に出来る子どもにしています。大きな子ども達がよいお手本で、彼らの真似をしながら掃除でも料理でもごく自然に出来るようになるという教育をしています。

大きな子ども達は洋服のたたみ方やら、アイロンがけ、しまい方までも教えてくれます。模倣をして成長をすることが大切な2~3歳の子ども達は、こうして刺激を受けて自立していくのです。特に一人っ子にとって、色々な年齢の子ども達と接する機会があるのは、成長する上でも得るものが多く素晴らしい環境です。

語学にも力を入れていて、特に母国語のドイツ語ではない英語を早期に学ばせています。モンテッソーリは「文化教育」も重要視しているので、音楽、お絵描き、地理に生物学にまで(!)幅広く興味を持たせて学ばせています。大きくなると詩を作らせたりします。
耳がやわらかいうちに、いい音楽を聴かせたり、親も一緒になってリトミックを楽しめるといった、カリキュラムが豊富です。広々とした庭があり、大きな紙を芝生の上にしいてフィンガーペイントを思う存分楽しんだりして、子ども達の興味や楽しみは尽きる事がありません。

開所&閉所
6時から18時まで

1日の過ごし方
6:00-9:00
子ども達が親に連れられてやってきます。
朝9時までに来れば大丈夫です。
早く来た子どもたちは、自由に外で遊んでいます。

9:00
健康にいいオーガニックなおやつを食べます。全て手作りです。

9:30-11:00
歌を歌ったり詩を作って暗唱させます。保母さんがお話を読んでくれる時間でもあります。指人形を使って人形劇もします。
年長さんは英語のクラスを設けています。体操をしたい子どもたちは思い切り体を動かします。若い科学者が出向いて、子ども用の化学実験を披露する事もあり毎日カリキュラムが豊富です。
音楽、美術もこの時間に行うことがあります。

11:00
子ども用のオーガニックランチの時間です。

12:00
お昼寝の時間を設けています。
この頃には小学校が終わった子ども達が入ってきます。
オーストリアは4・4・4制で小学校は給食なしの午前中だけの授業が普通です。
チビちゃんたちがお昼寝をしている間は小学生がランチを食べてから宿題をします。教育係の人が宿題をちゃんとみてくれるのが特権です。

14:30-18:00
手作りのおやつの時間はとても楽しみな時間です。アップルパイの焼けるこうばしい匂いに皆がソワソワして待てません。
おやつが終わると小学生がお皿を片付けるのを真似してチビちゃんたちも一生懸命に子ども用の小さいワゴンでキッチンまで運びます。
午後17時には100%終業するのがオーストリアの会社です。残業などとは無縁。18時までにピックアップされている子ども達もいます。
小学生の子ども達は共働きの両親の家に帰ってから、宿題は終わっているので家族で夕食をゆっくりとり、午後9時前にはもう就寝です。

贅沢!音楽の都ウィーンならでは。オペラのステージに上がる経験も

オペラ_01.jpg

ウィーン市内には、子ども用のプログラムが色々とあるので、保育者が選んで参加します。オーストリアは四国ほどの小さな国です。
ウィーンまではバスで移動しますが、移動時間(約1時間)も楽しい遠足気分!市内にある(ウィーン市内にオペラハウスは4つもある!)本場のオペラハウスでは、毎年9月の新しいシーズンとともに,子どもたちの参加型プログラムを組んでいて、実際にオペラの化粧室でのメイクや衣装を着せてもらえるのです。そんなユニークなイベントが子どもたちは大好きです。オペラをすぐそばで見る事も出来て、嫌でも小さいうちから音楽に慣れ親しんでしまいます。オペラのステージにも実際に上がれて小道具係から説明を受けながらそれらを実際に触る事も出来るのです。さすがに懐の広い音楽の都ウィーン式プログラムではないでしょうか?

音楽以外にも魅力的なカリキュラムがてんこ盛り

  • 定期的に近くの老人ホームを訪問して、一緒に遊びます。クリスマスの前は音楽を演奏します。
  • 秋の収穫祭では料理を皆でします。そして教会へ行きお祝いをします。
  • 定期的に子ども用のオペラをはじめとする演劇を見に行きます。美術館にも園児用のレクチャーがあり、保育士さんが引率してくれます。
  • 両親と一緒の森林浴も定期的に行われています。お互いの家族と知り合ういい機会ですね。
  • 毎週金曜日が「料理の日」で大きな子ども達と一緒に料理をします。

日本ではまだ馴染みのない年齢混合保育ですが、きょうだいで同じ施設にお願いできるという利点が大いにあると思います。また、小学生には「遊びと勉強の時間」というのがしっかり区別されていて家に帰っても宿題をする必要もなく遊べるという意味でもストレスなく過ごせます。大きい子ども達は小さい子ども達と接することで、お手本にならなくてはいけないし自主性が出て来ます。子ども時代の1~2歳の年の差は大きいですから年齢混合保育の制度はとてもいいスタイルだと思います。


文:パッハー眞理

ウィーン生まれ東京育ちのライター。4年駐在していたインドも加わり海外記事を雑誌、ウェブで発信中。著作に「アウガルテン宮殿への道」「インディ泥んこウィーン生活」がある。
 

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世界・海外の保育チーム
世界・海外各国の「スゴいい」保育に目を向けることで、逆に日本の「スゴいい」保育を照らすことにチャレンジするチーム。今日明日も”世界・海外の保育チーム”はアンテナをピンと張り、海外の保育をみなさんに紹介します。

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