【インドネシア発】バリ島のママが保育園に頼らなくても働ける理由

みなさんこんにちは、バリ島在住のフリーライター平理以子です。アジアを代表するリゾート地として、また神々の棲む神秘の島として知られる、バリ島。私はここで、バリ人の家族と暮らしながら、8歳と3歳の2児の子育てをしています。
バリ島のママたちは、仕事と家事に加えてバリヒンドゥー教のお供え物までこなすので、毎日が大忙し。しかし、ここバリ島にはローカル向けの保育園がほとんどありません。保育園がないなんて、さぞ大変だろうと思われるかもしれませんね。
今回は、地域が支えるバリ島の保育事情についてお伝えしたいと思います。

バリ島の保育システム

バリ島の保育施設の役割は、就学準備をメインに幼児指導を行うことです。そのため、就学前の1年間のみをTaman Kanak Kanak(通称:テーカー)と呼ばれる幼児向けの学校に通い、アルファベットの読み書きや簡単な計算方法を学びます。

最近はPlay Grpup(通称:ペーゲー)と呼ばれる4歳児以下のクラスや、5~6歳までの2年間をTaman Kanak Kanakに通わせる家庭もありますが、金銭的な理由から一切通わせない家庭も少なくありません。現在、バリ州の各県が定める最低給与は2万円前後です。パートや臨時採用で働く女性は、さらに低い賃金で働いています。一方、保育施設の料金は月額で平均2~3千円前後と、小さい負担ではありません。
その上、施設によっては保育時間が2時間と短かったり、保育中も親が付き添わなければならなかったりと、必ずしも親の保育負担の軽減には繋がっていないのが現実です。

保育の基本は、地域社会

657_03.jpg今では、バリ島でも女性が働くのは当たり前。仕事を持つ母親がほとんどです。女性が働きに出るとき、一番頼りになるのが家族や地域の協力です。
バリ島では、親はもちろん兄弟や親戚とも同じ敷地内に暮らすスタイルが一般的。そのため、祖父母や叔母叔父をはじめ、誰か手が空いていれば子育てを手伝うのは珍しくはありません。

ときには、仲の良いご近所の手を借りることも。バリ人の多くは子どもが大好きで、他人の子どもを預かることに抵抗が少ないようです。
でも、内心は不満に思っているのではないかと、近所の女性に尋ねてみました。「バリ人にとってはこれが普通よ。私の子どもたちも、別の家族にみてもらったしね。」と意に介していない様子。地域社会の結束の強いバリ島ならではの、子育ての仕組みと言えるでしょう。

ストレスなく「預け」「預けられる」ための5つのポイント

657_02.jpgとはいえ、わが子を他人に預けるのですから、相手への気遣いや、子どものストレス、万が一の事故など、不安はゼロではありません。バリ人はこの不安をどのように解消しているのでしょうか? 預けるのが当たり前という環境の影響は大きいですが、次のようなポイントがあるようです。

【その1】日ごろから地域の活動に参加して、コミュニケーションを頻繁にとる
ご近所の家族構成や人となりなどを理解することで、どの家族が信頼できるのかがわかります。

【その2】金銭のやりとりはなし
お互い様の精神が根付いているバリ人。金銭が絡むと返って預けにくいと感じる人が多いようです。

【その3】子どものミスに過剰に反応しない
幼い子どもであればミスはつきものと、大らかに構えることがポイントです。

【その4】都合が悪いときは、預かる側もはっきり断る
預かるほうが無理をしないことで、良好な関係がキープしやすくなっています。

【その5】子どもの特性を把握している
小さな子がいつも周囲にいるので、子どものあやし方が自然に身についているバリ人が多い印象です。

子どもが居てくれるだけでハッピー!が共通概念

バリ人にとって、子どもは癒しの存在。居てくれるだけでハッピーというのが、バリ人の思想の根底にあります。そのため子どもと触れ合う機会が多く、結果的に子どもへの理解が深まり、慈しむ気持ちを育んでいるのだと感じます。
育児ストレスから逃れるために、子どもと距離をとるのではなく、子どもがいることを当たり前の環境として受け入れることが、バリ人のストレスフリー育児のコツなのかもしれません。


文:平理以子(Taira Riiko)

2010年にバリ島へ移住。フリーライター、コラムニスト。2児の母。バリ人の夫の家族と共に、ディープなバリ島ライフを送る。執筆業と平行して、バリ島の布を使ったオリジナル衣類の製作販売やバリ島ウブドで宿を営む。


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世界・海外の保育チーム
世界・海外各国の「スゴいい」保育に目を向けることで、逆に日本の「スゴいい」保育を照らすことにチャレンジするチーム。今日明日も”世界・海外の保育チーム”はアンテナをピンと張り、海外の保育をみなさんに紹介します。

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