【もう熱性けいれんで慌てない】基本対応のすべて!

【もう熱性けいれんで慌てない】基本対応のすべて!

みなさんこんにちは。
webで学べる病児保育の資格「認定病児保育スペシャリスト資格取得web講座」を運営している、日本病児保育協会(通称「JaSCA」)です。

病児保育や資格について詳しくはこちらの記事をご確認ください
37.5℃を超えると、保育園を利用できない!?親子を助ける病児保育とは

今回のテーマは「熱性けいれん」です。

小さな子どもが突然チアノーゼ。

白目をむいて、両手両足をつっぱり、ビクビク震え始めた!呼びかけても返事がない!
あなたは、落ち着いて正しい対処をする自信がありますか?
いざという時落ち着いて対処できるように、しっかりと知識を身に付けておきましょう!

熱性けいれんサマリ

  • 日本ではだいたい子どもの10人に1人ぐらいの割合で熱性けいれんを起こす
  • 熱性けいれんは熱が出始めてから24時間以内に起こることが多い
  • 熱性けいれんは2~3分で収まることが多い
  • 熱が2~3日続いてからけいれんが起こった場合には髄膜炎や脳炎の恐れがあるので注意
  • 熱性けいれんは家族歴が強い

熱性けいれんについては、認定病児保育スペシャリスト資格公式テキスト第9章「基礎的な看病の方法」(P83)でも取り上げています。

熱性けいれんとは(定義)

熱性けいれんとは、38度以上の高熱に伴って、6歳未満の乳幼児期に起こる発作性疾患で、中枢神経感染症、代謝異常、その他発作の原因となる明らかな疾患がないものをいいます。

熱性けいれんが発生しやすい年齢

6歳未満の小児の7~8%(だいたい10人に1人ぐらい)に起こるといわれ、1~2歳が発症のピークです。

熱性けいれんの原因(どうして起こるのか)

子どもの脳が未熟なため・・・ということも言われていますが、熱性けいれんのメカニズムは、実はまだよくわかっていません。

熱性けいれんの種類


出典:医学書院 週刊医学会新聞 第2837号(2009年7月6日)小児科診療のフレームワーク【第7回】 熱性けいれん:ERでどうするか?/土畠智幸先生

●単純型熱性けいれん

単純型熱性けいれんでは、全身のふるえ(全般発作と呼ばれます)が続くのは15分未満です。

●複雑型熱性けいれん

複雑型熱性けいれんでは、全身のふるえが15分以上続いたり、体の片側だけがふるえたり(部分発作と呼ばれます)、24時間以内に発作が2回以上起こったりします。
複雑型熱性けいれんが起こる小児は、わずかですが後年にてんかん発作を起こしやすくなります。

熱性けいれんへの基本的な対応

熱性けいれんの70~80%は、心配のない単純型熱性けいれんです。
まずは慌てず、けいれんをよく「観察」することが重要です。
「けいれん中に舌を噛むのを防ぐために割り箸などを口に入れる」という処置は、誤った処置です。
かえって口の中を傷つけたり、吐気を誘発したりする恐れがあるので、絶対にしないでください。

<基本的な対応>

  • チアノーゼ、呼吸抑制、意識消失があってもあわてず、おちつくこと。
  • 衣服をゆるくし、特に首のまわりをゆるくし、頭部を少しそり気味にして呼吸を楽にする。
  • 頭部を躯幹よりやや低くし、横臥位にして顔を横に向け、吐いた物が気道に入らないようにする。
  • 吐物、分泌物が口のまわり、鼻孔にたまっていたら、ガーゼで拭き取る。
  • 歯を食いしばっている時でも、口の中に物は入れない。
  • 体温を測定し、発作の長さ(持続時間)と性状(左右差、眼球偏位など)を観察記録する。
  • 口からくすり、飲み物を与えない。
  • もとにもどるまで必ずそばにいる。
  • 抱っこなどで激しくゆすったり、大声で呼びかけたりして、大きな刺激を与えない。
  • クーリングを施し、医師に指示されている場合には、薬剤を使用する。


日本病児保育協会のサイトでは、更に詳しく次のようなことについても記載しています。

  • 緊急で医師の受診が必要なけいれん
  • 熱性けいれんは再発するのか(「ジアゼパム(商品名:ダイアップ)」の取扱についてを含む)

保育中に熱性けいれんが起こったら

まず、落ち着くことが大切です。
熱性けいれんを目の当たりにすると、そのけいれんが、「単純型」か「複雑型」か瞬時に見分けることが困難なことがあります。小児科のお医者さんですら慌てることがあります。

つぎに、深呼吸して、しっかりと対応することが重要です。
発見者・担当者は落ち着くまでその場を離れずに対応、2番目の人はしっかり観察記録、3番目の人は周りの人と連絡をとります。
さっきまで元気だったのに突然けいれんする・・・ということも稀ではありません。しかし急に高熱になることはまずありませんので、特に熱性けいれんの既往がある児童の場合、日頃からの観察が大切です。

誰でも、いつでも、対応できるよう、熱性けいれんへの基本的な対応を、全職員に繰り返し徹底しておく必要があります。特に与薬の必要な子どもを預かる場合には、手順をマニュアル化し、一定期間ごとに研修を行うなどして「いざ」という時に備えましょう。

最後に、熱性けいれんが起こらないよう、日頃の健康状態の把握が重要です。そして無用な感染症にかかり高熱を出すことの無いよう、予防接種は必ずするように勧めましょう。

~病児保育とは~

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日本病児保育協会
病児保育の担い手を養成し、病児保育の質と認知度の向上を図り、更には担い手同士が「繋がる場」を生み出すことを目的として、2012年9月に設立された団体です。「子育てと仕事の両立が当然で、子どもが社会全体で幸福に育てられている日本社会」を目指し活動しています。

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