こどもからの学び、親御さんからの学びがあり、毎日、自分が成長できる【インタビュー】

【プロフィール】
参納 初夏(さんのう はつか) 1976年生まれ 株式会社ファーストウォーク代表
大学時代、障害児教育を学び、こどもたちの発達について興味を持つ。保育園、院内託児所、ベビーシッターなど様々な保育現場を経験。院内託児所で勤務しているとき、しゃべれないこどもと二人きりで社会から切り離されたような閉鎖された環境で、自分自身がプチ育児うつになる。育児中でも社会との接点を持ち、「一人の女性として輝ける環境を作りたい」という思いから、会員制ベビーシッターなどを運営する株式会社ファーストウォークを設立

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やっぱり保育がやりたかった

-前職ではどんなことをしていましたか?
大学時代に障がい児教育を学んでいたたため、保育園や院内託児所、ベビーシッターの他にモデルやモデルハウスのコンパニオンと多岐に渡る職種を経験していました。
モデルをしたくて、27歳のときに東京に来たんです。モデルに関する仕事をしていましたが、モデルなどの業界の泥臭さを見て、ここは自分がやりたい場所ではないと思いました。「30歳になったら、保育の業界に戻ろう」と思っていましたが、30歳を前にして「辞めよう。保育業界に戻ろう」と決めました。

東京の保育事情を知らないので、派遣会社に入り、認証保育園で働き、1歳時クラスの担任としても保育を担当しました。また、認定NPO法人フローレンスの病児保育スタッフとしても働いていました。

個人シッタ-だからこそ受け取れる価値がある

-今のお仕事を始めたきっかけは?
会社に所属してベビーシッターを初めてやったとき、バイオリンの練習とお風呂に入れることを頼まれました。二週間同じ家でシッターをした最後の日にお礼に謝礼を直接渡されたんです。「いいです」と何度も断ったのですが無下にもできず、最終的にはその場では受け取り、会社経由で返金をしました。

そのとき、いただいたお金を返すことに疑問が浮かんだんですね。絵本とか、別の形で返す方法があったのではないかな。と思ったことが、個人でベビーシッターを請け負うことを考えたきっかけです。

家庭とシッター個人とのやりとりは、あっていいと思っています。子どもがシッターである私におみやげを選んでくれたりしたとき、お返しに遊ぶ道具を持って行って、プレンゼントしたりしています。子どもからもらったものは、親御さんにも伝えるようしています。
個人同士のコミュニケーションを残したいんですよね。人によっては、個人同士のコミュニケーションを受け入れる。受け入れないの違いはあります。また、調理はしない。初対面のシッターでは送迎は控えてもらうなど基本的なルールは設けています。

個人での繋がりだからこそ長く続く関係に

-個人でシッタ-をやり始める時って、最初はどのような感じなんですか?
最初のお客さまは、mixi(SNS)で知り合ったお客さまです。mixiで会った二人目のひとは、今もおつきあいがあります。今は、ママの将来についての相談も受けています。ママに言わない情報を子どもが私にはしてくれます。子どもは、親御さんとシッターを線引きしているんですよね。
こどもにとっては、私のようなシッターは理解者。小学生より前だと、「さんのうさんは、なんでうちにきているの?」と疑問に思っているみたいで、いっぱい遊んでくれる、怒られないひとという感覚なのかな。多分おっきなおともだちって感じだと思いますね(笑)

-個人シッタ-だと仕事の内容が多岐に渡ると思いますが、どのような感じでしょう
そうですね。ご自宅に伺って保育をする訪問型保育、子どもの送迎、子どもの遊び場の付き添い、企業主催でのイベント保育など、子どもひとりの保育に関わること全般なんでもやっています。

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8年の付き合いで、親戚のような存在に

-やりがいを感じるときはどのような時ですか
長期間保育している子どもの成長を感じるときです。今、最長で8年間保育している子どもがいます。赤ちゃんの頃から保育を始め、初めて片言でも「さんのうさん」と名前で呼んでもらえたときは、すごく嬉しいです。「ありがとう」と言ってもらえるときも、やりがいを感じます。

-心に残ったエピソードはありますか
8年保育で通っている家庭で「参納さんがいたから、二人目を生む決心ができた」といわれたときです。「少子化に貢献できてるんだ」と思えました。二人目は、今3歳です。二人目のお子さんの幼稚園受験で試験官が「公園は誰と行くのですか?」と尋ねたとき、「さんのーさん」と私の名前を答え、付き添いの親御さんがびっくりしたそうです(笑)

毎日のように公園に一緒に行っていた訳ではないのですが、その話を聞いて、自分が思っている以上に存在が大きかったのだな。と思いました。答えを聞いた試験官は、「そう。お友だちと行ってるのですね」と返してくれて、親御さんもほっとしたそうです(笑)

子供の自主性・主体性を尊重した保育をしたい

-保育に対しての自分なりのこだわりはありますか
子ども自主性を高めたいので、こちらから手出しはしないことです。子どもの意思表示が出るまで待ちます。長期間、同じ子どもと一緒にいると、その子がやって欲しいことがわかりますが、先回りしないように、その子の興味があるところを引き出すようにします。
例えば、「ひらがなをかきたい」という欲求が出たら、みみずが這ったような文字でも字を書いて、お手紙ごっこをする。書いた手紙を、ポストに投函する真似をするなど、興味が広がるような遊びをします。

はさみが使えるようになり、のりにも興味があるときは、切ったものをのりで貼ってみる。貼るのになれたら、次は、枠の中に貼ってみる。小さなステップを踏んで、子どもの幅を広げていくようにしたりしています。

-病児や障害児の保育ではいかがでしょうか
子育てをしていないのに何か読んで知識を得ているだけでは、病児保育や障害児保育はできないんですよね。その点に関しては私は障害児保育も経験していますし、病児保育はフローレンスで経験しているのでそこは自信になっています。そのためフリーでベビーシッターを受けている方には1年間週2回など病児保育を経験しませんか?と提案したいです。

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プロのシッタ-でありたい

-今後どのようなことをしていきたいですか
シッターについて、尋ねるなら「参納さん!」といわれる人になりたいです。現在は、シッターとして保育するプレーヤーですが、将来は、シッターをする人を育てる人になりたいです。今は、ほぼ毎日のように、シッターとして保育しています。

シッターを広め、子育てのときに当たり前に使えるインフラになっていくといいですね。そのためにシッターの質もあげていく必要があります。シッターのプロフェッショナルのひとが関わることで、ベビーシッターの質の底上げが早まると思うので、まず自分がそうならなければなと思います。

-思っている以上に働いている印象ですが、休めていますか?
365日、24時間、シッターに関する依頼メールが来ますが、年末、年始は、休むようにしていますし、イレギュラーな期間は、信頼できるベビーシッターに代わりを頼むことで、自主的に休みを取るようにしています。自分次第だと思います。

-意地悪な質問ですが子どもが大きくなったときはどうなるのでしょうか?
小学校3,4年からは、シッターの依頼は無くなるのではないかと思っています。既に卒業した子がいますが、ママとのおつきあいは、今も続いています。

ベビーシッターのスキルがピンキリな現状

-今のベビーシッター業界についてはどう考えていますか
一口にベビーシッターと言っても、造形活動ができる人、はさみの使い方を教えられる人、おむつの変えかたも知らない人、ミルクを作れない人など本当に色々います。今はベビーシッターが、どんな知識や経験のあるベビーシッターが分からない「闇市」になっていることが問題だと感じています。

ベビーシッターの色々な層から、利用者が望むところのシッターを選択できるようなになってほしいです。シッターの個人価値がそれぞれ見えて、スキルに見合った金額になることが理想ですね。
スキルで言えば、
例えば、おむつのわきのひだ(フリル)がちゃんと外側に出ているかチェックできる人。
ひだが中に入っていると、おしっこがもれてしまうことを知っているかどうか。
など細かい知識・スキルで言えば本当にいろいろあるんですが、このままでは、どんどんそれぞれ個人の我流のシッターになってしまいます。そこでやはりシッターを学びつづける体制が必要だと思います。
ベビーシッターの第三者評価を実施し、利用者がチェックできるようになるといいですね。
そういう問題意識とともに、シッターをやるひとがいっぱい増えることを望み「ベビーシッターを考える会」を作りました。

シッターも国の認可をとり、バウチャー制度などでシッターを保育サービスの1つとして選択できる仕組みがある状態が理想ですね。

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こどもからの学び、親御さんからの学びがあり、毎日、自分が成長できる

-この仕事に興味がある人へのメッセージをお願いします
なりたいとおもっているひとには「すっごい楽しいよ!(^^)」って言いたいですね。
ベビーシッターは子育てのパートナーだと思っています。そのため、ただ子どもにちょっと関わりたい。ではなく、長く子どもの成長をサポートしたいという志のある人が向いているんじゃないかな。
「この子ども教材いいの?」
「子どもをバイリンガルにするにはどうしたらいいの?」
「プレスクールは子どもにいいの?」
「子どもをインターナショナルスクールにいれるにはどうしたらいいの?」
このような親御さんからの様々な疑問を調べ、一緒に考えられるパートナーになれると毎回学びがあって楽しいですよ。こどもからの学び、親御さんからの学びがあり、毎日、自分が成長できる。ベビーシッターは私にとって「フィールドワーク」みたいな感じです。私にとっては、親御さんと喋るのも楽しみのひとつですね。そういうのが楽しめそうなら是非やってみてください!

【団体概要】
株式会社ファーストウォーク。
http://www.firstwalk.jp/
会員制ベビーシッターをメインに、ママ・キッズイベントの企画・運営、子育て関連商品の開発及び販売と子育てに関する事業を幅広く展開している。
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前5-47-8-10


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著者プロフィール

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スゴいい保育編集部
「スゴいい保育」を通じて保育という仕事の素晴らしさを伝えていくことにチャレンジするチーム。日本中の色んな「スゴい!」「いい!」保育を日々探し、みなさんに紹介します。

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