小さな解を地域に蓄え、その力で社会を変えていく【インタビュー】

【プロフィール】
齋藤雄介 1981年生まれ。アパレル・広告会社等の勤務を経て、2011年より社会福祉法人にてソーシャルワーカーのキャリアをスタート。老人福祉施設の福祉プログラムディレクターとして地域コミュニティ作りに関わる。その活動の中で感じた「子育て問題」をコミュニティ作りで解決すべく、2014年に認定NPO法人フローレンスに転職。現在は子育て支援施設「グロースリンクかちどき」の施設長を務め、地域で活動したい個人と子育てコミュニティを繋いでいる。

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保育士ではないけれど・・・。

-今までのキャリアについて教えていただけますか?
以前は、社会福祉法人で高齢者支援を行っていました。地域のコミュニティスペースで高齢者の生きがいづくりやボランティア活動の支援をしたり、多世代交流を通じてQOL(※)を高める仕事をしていたんです。
※QOL
quality of lifeの略称
ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のこと

でも、昔から子供が大好きで。保育士などの資格は持っていませんでしたが、どうしても「子供に関わる仕事」が諦められずにいました。ある日、以前から関心を寄せていた認定NPO法人フローレンスが運営するグロースリンクかちどきのボランティア募集を見つけたんです。もう「これしかない!」と、思い切って飛び込んでみることにしました。

-それは思い切りましたね(笑) 実際に働いてみてどうでしたか?
グロースリンクかちどきでの活動を続ける中で、「これこそ、これまでのコミュニティづくりの経験が活かせる仕事、自分の想いとスキルがリンクした子育て支援の仕事だ!」と確信を得るようになりました。その後、社員登用のお話をいただき現在に至ります。

人が集う「場」を作る

-実際の業務内容はどのような感じなのでしょうか?
プレイリーダーの仕事は多岐にわたります。あたたかい場を作って子どもとその親を迎え入れたり、来場者同士をつなげてコミュニティを育てたり。陰に日向に様々な親子に眼差しを向け続け、時にはその悩みと対話することもあります。その他にも、併設する習い事のスタジオや多目的室などの施設管理・運営も任されているので、「地域の人達が集う場を作っている」と言えるかもしれません。

普段は朝9時くらいに出勤して、子ども達の遊び場であるプレイパークの清掃からスタートします。私達が一番気をつけなければならないのは「お子さんの事故」なので、清掃をしながら安全面のチェックも行っています。親御さんが安心してお子さんを遊ばせてあげられるよう、遊具の修繕なども大事な仕事の1つですね。
その後、午前中はメールチェックをして、担当イベントの進捗確認をしたり。
午後は他のスタッフとの打合せや、プレイパークでのコミュニケーションタイム。
17時に閉館し、お金の締めなどを行って業務が終了します。

子育て中の皆さんに「安心」「魅力」「コミットメント」といったことを感じていただけるような場づくりを心がける毎日です。

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プレイリーダーは「まちのキーパーソン!」

-プレイリーダーを知らない人に一言で伝えるとしたらどうでしょうか
子育てしやすい場作り、まちづくりを実現できるプレイリーダーは、ずばり「まちのキーパーソン」だと思っています。

プレイパークには、子どもを中心に色々な人が集まって来ます。親御さんや地域のボランティアの方など。何人かと話をしていると「こんなことやりたいね!」という、ちょっとした声が出てくるのですが、それを聞き逃さないのがプレイリーダー。

出てきたアイディアをつなぎ合わせて、イベントを企画開催してしまうんです!皆さんに喜んでもらえるのは本当に嬉しいですし、やりがいがありますね。地域の子育て支援団体や企業、ママサークル、行政や病院などの育児支援機関と繋がりを深めながら、今では月に10回くらいイベントを開催しています。上司からは「頑張りすぎ」と言われていますが(笑)

これまで、嬉しい声をたくさんいただいてきました。
「イベントを通じて、同じ悩みを持つ地域の友人と語らえました」
「うちは一人っ子なのですが、プレイパークで弟みたいな友だちができたと喜んでいます」
「趣味のヨガを通じて、自己表現とかけがえのない場ができました」などなど。

人と人との繋がりや自己実現に寄与できた時の、皆さんの晴れやかなお顔は本当に忘れがたいですね。その人が抱えている、ちょっと深刻で、もやもやっとした悩みを解消できた時、それは私にとって、地域との信頼関係を深められたように感じる瞬間でもあるのです。

-今後やっていきたいことなどはありますか?
今後やってみたいことは、産前から産後までをサポートできる「ママ達のコミュニティ作り」。産婦人科のドクターなどと協力しながら、産後鬱や虐待などの問題を少しでも解決できたらと。

こだわりは「小さなコミュニケーション」を大切にすること

-様々な企画に携わっていますが、共通して心掛けていることがあれば教えて下さい
皆さんにお声がけする時は、ご来場いただいたことへの感謝をお伝えすると共に、お子さんの成長を一緒に楽しむことを心がけています。

親御さんには
「お久しぶりです!お子さん大きくなりましたね~」
「お子さん、積み木遊びがダイナミックになってきましたねっ!」など。
子どもに対しては「よく来たねー」と頭をワシャワシャしたり、抱き上げたり。親密度に応じて触れ合います(笑)

ある子どもから「お誕生日おめでとう!」と、サプライズで手紙と花を渡されことがありました。プレイパークは、保育園や幼稚園のように毎日通う場所ではありません。私は「たまに会うお兄さん」に過ぎないはず。そんな私の誕生日を覚えていてくれたこと、何かしようとしてくれたことは驚きであり、忘れられません。今思い出しても、涙が出そうになります。

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小さな解を地域に蓄え、その力で社会を変えていく

-プレイリーダーの仕事の意義をどうお考えですか?
子どもが集う場が向き合う問題というのは、個別的で、複合的な悩みであるケースが多いです。「近所に良い遊び場所がない」「もっと楽しくママ友同士が集まれる場所はないかしら」というようなことから、孤独に苛まれ誰にも悩みやストレスを打ち明けられず鬱に近い状態にある人がいたり。深刻度も様々で、ケースワーカー(※)さんが向き合うものと似ているかもしれません。
※ケースワーカー
地域で福祉サービスを必要としている人の相談に乗り、保育所などの福祉施設の入所や生活保護を必要とする人への適用手続きをする人

我々「場」の運営者は、そのような問題を受け止めるのに十分なキャパシティとサステナビリティを確保し、小さな解を多数用意しておくべきなのではないでしょうか。

インターネットやスマートデバイスで簡単に繋がれる現代だからこそ、人々が集う「場」があるということの分かりやすさ、大切さ、そしてそのパワーを感じています。「子育て」という切り口から、小さな解を地域に蓄え、その力で社会を変えていくということが、我々に課せられた使命であり、社会的な責任であると考えています。

【団体概要】
グロースリンクかちどきは「誰もが、子どもは親の子であると同時に『社会の子』だと信じ、子どもと子育てに関わる社会」をビジョンに活動し、年間利用者は2万人を超える。
グロースリンクかちどき:http://growthlink.jp/
・運営団体:認定NPO法人フローレンス:http://www.florence.or.jp/


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著者プロフィール

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スゴいい保育編集部
「スゴいい保育」を通じて保育という仕事の素晴らしさを伝えていくことにチャレンジするチーム。日本中の色んな「スゴい!」「いい!」保育を日々探し、みなさんに紹介します。

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