『ちょっときてくれない?』ふとした一言から始まった保育人生【インタビュー】

『ちょっときてくれない?』ふとした一言から始まった保育人生【インタビュー】

【プロフィール】
本間淳二さん 社会福祉法人つばさ福祉会 たまがわみんなの家 保育士
大学を卒業後、国語教師とライターという異色の経歴をもつ。「人にものを教えることが好き」の思いと、かつての恩師の保育業界へ誘う一言から、現職の保育士への門戸を開く。用務の仕事の傍ら、独学で国家試験に合格。取材時に配属された園で唯一の男性保育士

人にものを教えることが好きだった

-今までのキャリアを教えて下さい
もともと「国語の先生をやりたいな」という思いがあり、大学では教育学部に入って、国語の教員の免許を取りました。実は今の保育士になるまで、様々な業界を転々としていたんです。最初が専門学校の高等部(フリースクールみたいな、学校にいけなくなった子たちが集まるところ)で勉強を教えていました。

その後、インタビュー系の仕事を「雇用」と「フリー」の形で行った後、日雇いなどのアルバイトをしている最中、「ふらふらしているのもどうなのかなぁ」と思っているところに、卒園した保育園の園長先生から「ちょっとあんたきなさい」と声をかけられました。おたよりの作成や用務をしつつ、ほぼ保育士のような仕事を自然とするようになっていました。そこで「保育士という仕事の面白さ」に触れ、保育士になりました。

子どもにいろいろ教えたりしたいなというのはずっと考えてはいたのですが、今思うと、あの時の園長先生からの何気ない声掛けが、「保育士として子どもにいろいろ教える」ことへのターニングポイントでしたね。

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「毎日同じ」が使命。0歳の生活のリズムを創る保育園の一日

-何気ない一言から始まった保育人生ですが、現状のお仕事はどのような感じですか?
世間一般的な「ずばり保育!」というような感じです。私は現在0歳児クラスを主に担当しています。
午前は親御さんからの引継ぎから、園で大切にしている「名前呼び」を経て、晴れた時は屋外へ散歩、天候不順の時は屋内で足腰の発達を促す取り組みを行うことが多いです。

昼食は発達や生活習慣に合わせて、離乳食の子たちは早めに、ほぼ幼児食の子たちは遅めにというふうに、摂取タイミングを調整したりしますね。

午後は午睡も子どもそれぞれ。よく寝かしつけを担当しています。手足を温めたり、額や鼻のスジをこすってあげると気持ちよく眠ることが多いです。起きた後は発達度合いで活動内容を分けますが、この時期の子どもたちはやはり「歩けること」がとても楽しみなようで、園内にある階段を何度も登り降りしています。

特に「名前呼び」は、自己肯定感を持ってもらったり、傾聴する姿勢を身につけてもらうような位置づけで、とても大切にしています。

将来の「当たり前」が身につく奇跡を毎日味わってます

-仕事で印象に残るようなことは何かありますか
小さい子の場合は、特に成長の変化が見えやすいので、「立った!」とか「歩いた!!」とかの瞬間に立ち会うと、みんなで喜びますし、感動に包まれます。あとは、一日の保育の流れを子どもたちが理解してきて、言わなくても自分たちが次の行動をしているのを見えると、「わかってるね~」とジーンと感じますね。保育園に子どもを預けている親御さんから見ると、子どもたちと接している時間も長く、貴重な瞬間に立ち会うこともしばしばなのですが、例えば「歩いた!」という現場をみても、「親御さん歩いたって言ってたっけ?」なんてスタッフの中で確認しあって、言っていなければ「もうすぐ歩くかもしれませんよ!」なんて雰囲気を匂わせたりしています(笑)

保育士になって5~6年経ち、入園から卒園までの子どもを見守ることもありました。最初はバブバブ言っていた子が「ばいばーい!」と言って卒園していくのを見ると、その成長すべてがフラッシュバックされ、感慨深いと感じますし、この仕事でしか味わうことができない!と思いますね。

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受容、肯定そして「背中を押す」心がけ

-保育で心掛けていることとかありますか?
「子どもたちの要望は、いったんすべて受け入れる」ということをこだわりにしています。どんなわがまま(子どもが「こうしたい!」とアピールしていること)でもです。例えばおもちゃを取り合いしているところを、「だめでしょ!」と制止するのは簡単ですが、「遊びたかったんだよね」と、その時の子どもの心情を受け止めてあげるようにしています。認めること、受け止めてあげることが、その子の自信にも繋がると思っています。これって、大人の社会でもそうですよね。

-今後やっていきたいことなどはありますか
今後も、日々楽しければ良いと思っているのですが、それだけではいけないので(笑)、「成長のお手伝いをしっかりしよう」と思っています。極端に言えば、子どもの欲求もありますが、学校に上がっても困らないような、基本的な生活習慣をしっかり伝えてあげたいと思っています。もちろん無理強いはせず、自然な形で「背中を押す」ということができたら良いと思っています。背中を押さずに「引っ張ってしまう」こともあるのですが、タイミングで「待つことも大事だ」というふうに振り返ることを心がけています。大人が先にやってしまえば簡単ですが、子どもたちのやりたい気持ちもあるし、やれることはあるので、それをつぶさないように、やる気を汲み取って「じゃあこれやってみようか」と促してみるんです。できたときの子どもって本当に嬉しそうな顔をしますよね。見てる私もとてもうれしいんです。

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-保育士を目指す方に一言お願いします
これから保育士を目指す人には、そんな「成長が著しい世代が目の前にいて、その瞬間に多く立ち会うことができる、感動の場所が沢山ある」ということを、今回のインタビューから伝わるととても幸いです。

【団体概要】
社会福祉法人つばさ福祉会 たまがわみんなの家
http://tamagawa.tsubasa-f.or.jp/


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スゴいい保育編集部
「スゴいい保育」を通じて保育という仕事の素晴らしさを伝えていくことにチャレンジするチーム。日本中の色んな「スゴい!」「いい!」保育を日々探し、みなさんに紹介します。

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