「病気の時は親が看るべき」なんて考えは時代遅れ【インタビュー】

【プロフィール】
伊藤ユカリ 60代 小坂こども元気!!クリニック 病児保育室勤務
区が運営するファミリーサポート事業のアドバイザーや運営業務に9年ほど勤務。その後2012年より小坂こども元気クリニックの病児保育スタッフとして勤務

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子育て支援の中でも特殊な病児保育に挑戦

-以前はどのようなことをしていたのですか?


前職では、区の子育て支援課がやっているファミリーサポートセンター事業のアドバイザーをしていました。親御さんとサポーターのマッチングをしたり、双方の話しを聞いて調整をしたり。他にはサポーターさんの講習会やレベルアップ研修会などの運営業務です。そこでは9年ほど勤務しました。区の仕事は任期がありそれが終了したので前職は辞めることになりました。その後、もう少し自分に何かできることはないかなと思って、家が近いことやこどもと関わるのが好きなこともありこちらの病児保育室で働くことにしました。現在勤務して4年になります。

※ファミリーサポートとは、市町村が運営している、地域において育児の援助を受けたい人と行いたい人が会員となり、育児のお手伝いをする仕組みです。(例:保育園へのお迎えとその後のお預かり等)

医療との連携で安全なお預かり

-病児保育室のお仕事について教えて下さい
基本的に病児保育室はまず、併設の小児科で医師の診察を受けた後にお預かりとなります。親御さんが急いでいる場合には、私達が親御さんに代わって医師の診察を受けることもあります。受入れ時は親御さんからお子さんの症状や様子を注意深く聞き取ります。昨夜と今朝の症状と睡眠・排便・食欲などを聞いておくことがとても大事になりますね。

インフルエンザや感染症が流行る時期はお預かりの人数も増えて、てんやわんやです(笑)

-日々の保育の流れはどのような感じなのでしょうか

お昼ごはんは親御さんが用意したお弁当を食べるのですが、アレルギーがあるお子さんもいるので、その場合はお子さん同士の手が届かない距離に別のテーブルを出し、アレルギーのある子だとすぐわかるトレーに載せて準備する、という風に注意をします。通常11時頃にはお昼ごはんにします。その後はお昼寝です。大きくなると寝ない子もいるので、子どもの年齢に合わせて「お話しないでゴロンして休もうね」と優しく促すと、「寝なくてもいい」と安心してだいたい寝ちゃうんですよ。かわいいですよね。

(ここで、「僕寝ないもーん。」と保育していた子どもからのツッコミが・・・)

お昼寝後は、汗をかいているので着替えして清拭しておやつにします。おやつも親御さんが準備してくれたものを食べるんですよ。スタッフの休憩はお子さんのお昼ごはんが終わった後に順番に取っています。感染症が流行ってお預かりが多い時期は、全てのスタッフの休憩を回すのも大変ですね(笑)

おやつの時には人出も必要になるので、夕方のおやつの時間までに皆の休憩を終わらせる必要があるんです。スタッフが足りない時などは、併設の小児科で勤務している看護師さんも手伝ってくれたりするのでとてもありがたいです。

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子どもってそれぞれ違うし病児保育室は毎日来るところじゃないから関係性を作るのは大変。だけどすごく可愛い

-病児保育室ならではの工夫やエピソードをお願いします

たいてい、お子さんは緊張してここに来るんです。来たばかりの時は泣くことも多いけど打ち解けてくれると嬉しいですね。お子さんとの関わりは楽しいです。色んな子がいますからね。何日も来ると慣れて来る子もいますが、3日くらい続けて来た場合は担当のスタッフを変えるようにして、なるべく緊張感を持って保育に当たれるように工夫しています。

保育園と違って毎日来る所じゃないので、前回来てから期間が空いているお子さんは成長を感じて嬉しくなることもありますね。本当に時間が経つのが早いと感じます。前に来たことを覚えていてくれているお子さんもいます。

朝はすごく泣いていたお子さんが、夕方には離れたくない、帰りたくないと言ってくれることもあるんです。なので自分たちも朝は泣いているお子さんでも、お昼頃には楽しく過ごせるように色々工夫しています。何日か続けて来たりすると、この子ってこういう一面があるのか。とわかることもあって楽しいです。

お母さんから後日、「楽しかったからまた行きたいって何度も言ってたんですよ」と言われることもあるので、そういうことも励みになります。しかも、来ていた時は楽しそうにしてなかった子がそういう事を家で言うこともあるんです。子どもって本当に面白いですよね(笑)じゃあまたね。というお別れは病児保育室ではしちゃいけないな。とも思いながら帰りには見送っています。

子どもを安心させるために、まずは親御さんに安心してもらう

-仕事で気をつけていることなどはありますか
病気で辛い時に知らない場所に預けられて心細い気持ちでいる子どもに、少しでも安心して楽しく過ごせるようにしてあげたいと思って日々保育してるんですが、その為には、まずはお父さんお母さんを安心させる必要があると思ってます。お父さん・お母さんも子どもと同じ気持なんですよね。ここで一日安心して子どもが泣かずに過ごせるかなと。だからまずは受入れの際に親御さんに安心していただき、その様子を子どもにも自然に見てもらうことで信頼関係を作っています。


病児保育は特殊な仕事だからこそのやりがいがある

-病児保育ならではのやりがいはありますか

病児保育は保育の中でも特殊なお仕事だとは思いますし、病気のお子さんの預かりは、自分も罹患するのではとか、病状の悪化が怖いと思う方もいらっしゃるでしょうけれど、きちんと知識を持って看護すれば大丈夫なんですよ。施設型は小児科も併設していますし、何かあってもすぐに医師や看護師が対応してくれるので安心しています。

また、どんな保育もニーズが高まっているので必要だとは思いますが、お子さんが病気の時の親御さんの「困った・休めない」へのサポートができるのでよりやりがいがあると思います。

「病気の時は親が看るべきなの??」

-病児保育の意義はどのようなところにあると思いますか?
私は「病気の時は親が看るべき」とは全く思いません。子どもが頻繁に病気になるのは、幼児のうちの短期間です。働き続けて行くことは本当に大変なことなのでそのことにも重点を置いて、休めない時や困ったときは誰かに頼ったり病児保育を使ったりしながら両立してほしいです。
子どもは朝預けられる時にはすごく泣くこともあるけど、適応能力も高いので
すぐに慣れて1日楽しく過ごしています。それに保育園に行けない子どもを預かるということは、大きな社会的な意義があります。こういう場所がもう少し増えるように行政にも支援してほしいですね。それにもっともっと、このような病後児以外の急性期のお子さんも預かれる施設が増えるといいと思います。

【団体概要】
小坂こども元気!!クリニック 病児保育室
東京都中央区月島3-30-3 ベルウッドビル2・3・4F
http://www.doctors-search.com/c-chuo/kosakachild/
小児科と熱を出した子どもを預かる病児保育室、子育て支援の親子広場“あすなろの木”を運営。病児保育室は、中央区内・区外の両方に対応し受入れを実施。


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スゴいい保育編集部
「スゴいい保育」を通じて保育という仕事の素晴らしさを伝えていくことにチャレンジするチーム。日本中の色んな「スゴい!」「いい!」保育を日々探し、みなさんに紹介します。

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