【保育中に注意すべき点は?】初夏に増加する子どもの「とびひ」

【保育中に注意すべき点は?】初夏に増加する子どもの「とびひ」

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病児保育や資格について詳しくはこちらの記事をご確認ください。
37.5℃を超えると、保育園を利用できない!?親子を助ける病児保育とは

今回のテーマは「とびひ」です。

子どものかかる皮膚感染症で「細菌」が原因となる感染症では、「とびひ」が一番多い疾患です。特にこれからの季節は注意が必要。しっかりと基本を押さえておきましょう!

とびひとは

「とびひ」の皮膚科の正式病名は「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」といいます。接触によってうつり、火事の飛び火のようにあっと言う間に広がるので「とびひ」と俗称されています。黄色ブドウ球菌あるいは連鎖球菌が皮膚の浅い部分に感染し、水疱あるいは膿疱をつくる化膿性の病気です。あせも・虫刺され・湿疹などをひっかいたり、転んでできた傷に二次感染を起してとびひになります。

とびひには大きく2つの種類があります。
ひとつは、みずぶくれが出来てびらんを作ることが多い「水疱性膿痂疹」で、黄色ブドウ球菌が原因菌です。

もうひとつは、炎症が強く痂皮(かひ:俗にいう”かさぶた”)が厚くついた、みずぶくれのできない「痂皮性膿痂疹」で、溶連菌の一種であるA群β溶血性連鎖球菌が原因菌です。痂皮性膿痂疹はアトピー性皮膚炎などに合併することが多く、重症化すると猩紅熱のように全身が真っ赤になってしまうこともあります。

とびひが発生しやすい年齢は0〜6歳の乳幼児に多く、痂皮性膿痂疹は年齢に関係なく発症します。流行時期は夏期に多く、痂皮性膿痂疹は季節に関係なく発症します。

おもな感染経路は患者との接触による「接触感染」ですが、鼻腔粘膜や咽頭、皮膚に常在する黄色ブドウ球菌による自家感染「自家感染」することもあります。潜伏期間は2~10日ですが、たまに長期間の場合もあります。

保育中に気をつけること

・子どもの爪は短く切り、ひっかきによる感染拡大を防ぐ
・手指を介して原因菌が周囲に拡大するため、十分に手を洗う習慣をつける
・湿潤部位はガーゼでおおい、他の児が接触しないようにする。皮膚の接触が多い集団保育では、浸出液の多い時期には出席を控える方が望ましい。
・市販の絆創膏は浸出液の吸収が不十分な上に胴部の皮膚のかゆみを生じ、感染を拡大することが在る
・治癒するまではプールは禁止とする
・感染拡大予防法として、炎症症状の強い場合や化膿した部位が広い場合には傷に直接触らないよう指導する

~改訂版 保育所における感染症対策ガイドラインより~

また、鼻の中はブドウ球菌など細菌が多数存在するので、「鼻をいじらない」ことも大切。
鼻を触った手で虫刺されの傷などを触ると、そこから感染することがあります!

適切な治療を受けるために、早めに医師を受診します。

とびひのケア

皮膚を清潔に保つことが大切です。石けんをよく泡立てて、その泡で優しく洗い(タオルなどは使わず手で洗います)、シャワーでよく流します。洗ったあとは保湿も大切です。

治癒・登園(登校)のめやす

学校保健安全法という法律の中で「学校感染症、第三種(その他の感染症)」として扱われています。基本的には、医師にみてもらって、治療して、病変部をガーゼや包帯できちんと覆って露出していなければ、登校・登園許可を得られます。

日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会、日本皮膚科学会、日本小児感染症学会が出席停止期間に関する統一見解を出しています。

水ぶくれや糜爛(びらん)からの浸出液を触ったり、引っ掻いたりすると、中の細菌で次々にうつります。特に鼻の入り口には原因の細菌が沢山いるので鼻をいじらないようにしましょう。病変が広範囲の場合や全身症状のある場合は学校を休んでの治療を必要とすることがありますが、病変部を外用処置して、きちんと覆ってあれば、学校を休む必要はありません。
(出典:平成22年7月:『学校感染症 第三種 その他の感染症:皮膚の学校感染症に関する統一見解』)

~病児保育とは~

病児保育について詳しくはこちらの記事をご確認ください

37.5度を超えると、保育園を利用できない!?親子を助ける病児保育とは

記事の監修・参考文献

<参考文献>
公益社団法人皮膚科学会HP
maruho皮膚科疾患情報HP
改訂版 保育所における感染症対策ガイドライン

などを参考に日本病児保育協会が作成し、北浜こどもクリニック院長 北浜 直先生に監修いただいた記事をリライトしました。

著者プロフィール

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日本病児保育協会
病児保育の担い手を養成し、病児保育の質と認知度の向上を図り、更には担い手同士が「繋がる場」を生み出すことを目的として、2012年9月に設立された団体です。「子育てと仕事の両立が当然で、子どもが社会全体で幸福に育てられている日本社会」を目指し活動しています。

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