「子どもを保育園に預けるのはかわいそう?」送りで泣く娘に罪悪感を感じるお母さんが、保育園事務員として働く中で感じたこと【保育とわたし】

「子どもを保育園に預けるのはかわいそう?」送りで泣く娘に罪悪感を感じるお母さんが、保育園事務員として働く中で感じたこと【保育とわたし】

一言に保育と言っても保育も色々、関わり方も人それぞれ。読者の方の保育にまつわるエピソードをご紹介する「保育とわたし」。今回は以前に保育園で事務員として働いていた、30代共働き女性のエピソードです。

お子さんが生まれて保育園に入るのと同時に、別の保育園に事務員として就職したお母さん。送りで泣く子どもの姿を見て罪悪感を感じていたお母さんですが、自分自身も保育園で働くなかで、少しずつ気持ちが変わっていきます。

娘が生まれて8ヶ月のとき、たまたま、近所の保育園に事務員として採用されました。
出産前はサービス業をしていたのですが、我が家は夫と2人の核家族で祖父母も遠方。
休日や夜遅いシフトに入ることが難しく、出産を機に退職していたので、久しぶりのフルタイム勤務です。
新しい環境に、ワクワクとドキドキが半分ずつといった感じで、母娘とも緊張の保育園デビュー。
しかし、絶賛人見知り中の娘は、朝の送りで母が部屋を出て行こうとすると、身をよじって大号泣します。
「こんなに泣いているのに、仕事をしたいなんて私のワガママなのかな?」
「子どものためには、仕事をやめて家にいるべきなんだろうか……」
専業主婦の母を思い出しては、子どもをもって働くことにも、子どもを預けることにも不安や罪悪感がいっぱいで、心配でたまりませんでした。

4月は新入園児が多く、どの園でも子どもたちがよく泣いています。
私の勤務先もご多分にもれず、子どもたちの泣き声を聞いては、娘のことを思い出して、「今ごろ泣いているのかなぁ…」と胸がチクッと痛みます。
同時に、私自身、保育園で働くのは初めてだったので、4月の賑やかさ、慌ただしさに驚いてもいました。
先生たちは、自分の昼食もそこそこに、子どもたちと一緒に走り回り、子どもを抱っこし、食事の介助、環境整備、と目の回るのような忙しさです。
心配顔の保護者へ、子どもの園での様子を伝え、「大丈夫ですよ!お母さんもがんばって!」と温かい言葉も忘れません。
そして、最初は泣いていた子どもたちは、1週間もたつとすっかり落ち着き、楽しそうに遊び始めるようになりました。

そんな中開かれた職員会議。「なかなかミルクを飲んでくれなかったAちゃんが、ついに哺乳瓶でミルクを飲めた!」と0歳児クラスの担任からの報告に、職員から「おーっ!!」と拍手が沸き起こりました。
「新入園のBちゃんは、咀嚼が苦手なので、食材を少し小さめに刻んで提供すること」「Bちゃんは今月からお父さんが単身赴任になったため、様子を丁寧に見ましょう」など、子どもたちの生活の様子を園全体で共有して、全員で見守る様子に、保育園ってすごいところだと心から感じました。
そして、娘もこうやって、たくさんの先生に見守ってもらってるんだと、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

保育園に預けるなんてかわいそう、なんて気持ちは、気がつくとなくなっていました。
娘がしゃべれるようになると、「きょうは●●がたのしかったよ!」と、保育園での様子を聞いたり、手遊びを娘から教えてもらったり。
私自身も、職場で同僚、先輩保育士のプロフェッショナルな仕事ぶりに感心する一方で、親としては娘の園の先生にたくさん助けてもらいました。
娘は、保育園でたくさんの大人からたっぷりの愛情を受け取り、お友達と宝物のような時間を過ごしました。
「おおきくなったらほいくえんのせんせいになりたい」という素敵な夢をもって、娘は春から小学生になります。

※登場する場所・名前・所属などは編集部により架空のものに差し替えています。

働く親は、「子どもを保育園に預けて働く自分は、悪い親なのか?」と考えてしまうこともあるかもしれません。

でも、保育園には、想いをもって子どもに向かっている先生たちがいて、親からは見えないところでも、子どもの育ちをあたたかく、しっかりと見守ってくれています。今回はそんなことがよくわかるエピソードではないでしょうか。きっとこんな保育園なら、親御さんも安心して仕事にいくことができるでしょう。


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