【フランス発】日本とフランス、保育・教育の常識ココが違う ~衛生面編~

先の二つの記事(第1弾【フランス発】「待機児童問題」を解消する秘策となるのか?!親保育所という選択肢、第2弾【フランス発】単なる託児施設ではない!子どもにとってよりよい保育空間を自分たちで作る「親保育所」)では、親主体で運営されているフランスの「親保育所」を紹介しました。

私自身、親保育所の運営に携わると同時に保育当番という形で保育の現場で実際に何が行なわれているのかということも間近で見ることができたことは、フランスで子育てをする上で貴重な情報収集・交換の機会になりました。しかし、これまで3年間の親保育所での経験や、フランス人の親、保育士、小児科医との会話、書籍などで保育・育児・教育に関して言われてきたことの中には、「日本と違う」と感じるものも多々あり、「何が正しいのか」ということをたびたび考えさせられます。

外国なので、文化や習慣の違いに根ざした常識の違いがあるのは当たり前のこと。「郷に入っては郷に従え」ということで、大概のことは「フランス流」で構わないと思いつつ、意見交換の場ではフランス人が「日本はすごい」と感じることもいろいろあるようです。

 今回は、親保育所だけに限らず、フランスの保育・育児・教育に関する常識をめぐって、フランスの文化や習慣、考え方といった側面からお話したいとおもいます。まずは衛生面の常識について報告します。

 

フランスの常識:水疱瘡は、保育園で「うつしてもらおう」。だから登園不可ではない!


 フランスの新年度は9月に始まります。長男は今年度から公立幼稚園に通い始めましたが、3学年で100人以上もの園児が通っており、寒い時期には風邪などの病気の感染は必至です。保育園や幼稚園で感染・伝染する病気は、インフルエンザ、胃腸炎、リンゴ病、水疱瘡など、日本でも珍しくはありませんが、フランスでは水疱瘡は登園不可にはなりません。むしろ、誰かが水疱瘡に感染したら、他の親たちは「ウチの子も『もらって』今のうちに済ませてしまおう」と考えます。そのため、水疱瘡の子どもが登園することが悪いという認識は全くありません(最初は驚きましたが、私の息子もそれで「もらう」ことができました)。

フランスの常識:アタマジラミの発生率はどの学校でも毎年!「シラミ発生中」のお知らせが常時掲載中


驚いたことと言えば、フランスではアタマジラミの発生率が高いことです。親保育所でもこの3年間に2度発生しましたが、幼稚園でも現在「シラミ発生中」の貼り紙がされています。保育園・幼稚園・小学校でアタマジラミは「よくあること」です。日本では、どの学校でも毎年発生するというほど多くはありませんよね。

 胃腸炎の発生率も非常に高く、しかも誰かが感染すると一通りすべての家族に回ってきて、親たちも避けることができません。冬場は風邪・インフルエンザも流行しますので、保育所内ではいつも誰かが病気に罹っているような状態です。

 

「公共の場はキレイに」という衛生概念が日本とは違う!だからうがいや手洗い習慣もない


 「接触」が主な感染ルートであるとすれば、日本でもフランスでも事情はあまり変わりませんが、手洗いの習慣づけは日本のように徹底されていませんし、うがいは習慣自体ありません。よく知られているようにフランス人の挨拶はキス(頬と頬)や握手ですし、土足文化(幼稚園や小学校でも上履きに履き替えません)であることなど、文化的な違いも病気の感染と関係があるように思われます。

 フランスではハンカチを使う習慣がありません(誰も持っていませんし、もちろん学校のハンカチ検査なんて存在しません )。その代わり、レストランなどの紙ナプキンに近い素材でできたムショワールmouchoirを持っています。mouchoirは辞書では「ハンカチ」の訳語ですが、10枚入りの使い捨てテッシュです。水にも強い紙質ですが、基本的には手を拭くためのものではなく、日本のポケットティッシュと同様に、これで鼻をかみます。フランス人はムショワールで一度鼻をかんだ後に丸めて再びバッグやポケットの中に入れ、繰り返し使います。病院などでは「一度使ったら捨てましょう」という啓蒙ポースターをよく見かけますが、まだまだ再利用する人が多いです。そして、繰り返し同じムショワールが使われた手で握手をするというわけで…。

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 また、屋外の衛生状態も、日本とフランスでは比較になりません(もっとも、これに関して日本は最先進国ですので、外国人の目からは「キレイすぎる」ほどですが)。パリにしても、テレビでみる「花の都」は、ごく一部分の切り取られた場面に過ぎず、メトロや鉄道の汚さは欧米一かもしれません。公衆トイレが付設されていないということもあり「立ちション」も多く、それが駅構内で異臭となっています。道路の上には犬の糞も多く、タバコはポイ捨てが当たり前です(数年前まではカフェ内でも床に直接タバコを捨て、それを店員がホウキで道路に掃き出すというのが普通でした)。タバコやゴミのポイ捨ては多いですが、そうしたゴミは側溝部分にたまり、定期的にその一番端から水がでるようになっていて、ゴミが道路下の下水に流される仕組みになっています。そのため、ポイ捨てそれ自体に対する抵抗意識も低いようです。

また、生活文化の違う移民や路上生活者が多いことも理由に挙げられるかもしれませんが、一般的に公共物をキレイに使う、キレイにするという感覚がない人が多いのは事実です。

一旦ここで筆をおいて、次回は習慣、文化の側面から報告します。


文:LIBELLULE

フランス在住9年目。パリ第12大学大学院修了、現在は日本語教師、翻訳、ライターなどの仕事をしながら、3児の父親として育児にも忙しい日々をおくっています。
 

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世界・海外の保育チーム
世界・海外各国の「スゴいい」保育に目を向けることで、逆に日本の「スゴいい」保育を照らすことにチャレンジするチーム。今日明日も”世界・海外の保育チーム”はアンテナをピンと張り、海外の保育をみなさんに紹介します。

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