保育園のお昼寝の呼吸確認は人工呼吸じゃなくて補助呼吸の考え方が正しい【後編】

前回に続き、お昼寝時の窒息防止に向けた子どもの呼吸の確認方法について考えていきます。確認する目的を振り返り、「事故発生時の対応手順」に焦点をあててていきます。お昼寝時における呼吸確認のポイントは必見です。

子どもの脳を守って心臓も止めさせないこと

カーラーやドリンカーの救命曲線が示すように、呼吸が止まってから5分~10分後には、カラダに残った酸素が失われて脳が機能障害を起こします。その結果、死を迎える危険性が高まります。このような子どもの心肺停止は、もっとも回避したい事態です。

子どもの心臓が止まってしまうと、治療を受けても、10%程度しか退院できません(蘇生ガイドラインより)。命が助かっても、重度の障害が残る可能性も高く、「万が一、子どもの心肺が停止したらどうする?」ではなくて、止めないように動く対策が大切です。

呼吸があったときこそ初期対応が重要

お昼寝時の子どもの睡眠チェックは、子どもの呼吸が止まっていることを確認することが目的ではありません。普段通りの呼吸ができているかを定期的に記録し、呼吸の変調があったら、その異常な状態に対して処置を行う。すなわち、心肺停止を防止するための行為です。

体温を測ったり、保護者と協力して休ませてあげることだけが、保育者のできる体調管理ではありません。当たり前に呼吸をしている中で、「普段から何もないわけではない」子どもの様子を観察することこそ、本当の意味で子どもの命を守ることにつながります。

お昼寝時の窒息を発見した直後の対応はここに注意

一般に、事故発生直後の対応方法は、保育の安全ガイドラインにもあったように、まず反応の確認をしてから(反応がない状態で)、呼吸を確認します。ですが、お昼寝時の窒息事故の場合は、先に呼吸の確認があって、異常だと判断されてから反応の確認を行なうことになります。

保育の事故発生時の対応のための安全ガイドラインにあった窒息時対応の補足手順が違うことで、人を呼んだり、119番することを忘れてしまいがちです。小さな違いですが、こういった流れを、落ち着いて丁寧かつ迅速に進行できるには、やはり慣れと、周りの大人との協力が必要です。定期的に研修を受けてくださることを願っています。

プールあそびの溺水事故は窒息事故とはいえ背中は叩きません

最後に、蛇足ですが窒息事故の発見直後の手順の違いといえば、プールあそびに起こる溺水事故の処置も挙げられます。水を飲むことから、水を吐かせようと、お腹を押したり、背中を叩いたという報告がありますが、背中を叩く、水を吐かせる必要はありません

自ら吐き出すこともなく、呼びかけに反応できないほどのときは、背中を叩いている時間すらも惜しまれます。その分、少しでも早く心肺蘇生法を開始することが望まれます。このようにシチュエーションによって手順は変わります。一緒に学んでいきましょう。


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著者プロフィール

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遠藤登(保育安全のかたち)
保育の安全性を高め、重大な事故を防ぐために、保育現場における救命処置法ほか、ヒヤリハット分析「チャイルドSHELモデル(c-SHEL)」の教育と保育リスクマネジメントの研修を開催しています。主な著書、『保育救命-保育者のための安全安心ガイド-』(株式会社メイト)ほか。

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