保育士試験対策
【社会的養護】頻出!児童養護施設入所児童等調査結果についてポイントまとめ
こんにちは。東大卒イクメンパパです。
イクメンです。イケメンではありません。
今回は、筆記試験難関科目のひとつ、社会的養護で出題される「児童養護施設入所児童等調査結果」について取り上げます。
この調査は、児童養護施設などの施設に入所していたり、里親に委託されて養育されている子どもについて調べたもので、なぜ施設に入所することになったか、また今現在どのような状況で養育されているか、などがまとめられています。
筆記試験にもよく出る重要なデータなのですが、隅から隅まで読み込むのはとても大変なので、ポイントになりそうなところをいくつか切り取ってご紹介します。
児童養護施設入所児童等調査結果とは
児童養護施設入所児童等調査は、厚生労働省が行っている、日本の社会的養護を受けている子どもについての調査です。
数年(たぶん5年)ごとに調査が行われており、一番最近のものは、平成25年(2013年)の調査結果となります。
厚生労働省のページはこちら。
児童養護施設入所児童等調査の結果(平成25年2月1日現在) |報道発表資料|厚生労働省
対象は施設養護、家庭養護(里親委託やファミリーホーム)両方を含みます。
具体的には、以下の施設/委託が対象となっています。
- 里親委託
- 児童養護施設
- ファミリーホーム
- 児童自立支援施設
- 情緒障害児短期治療施設
- 乳児院
- 自立支援ホーム
調査結果のデータは、社会的養護の筆記試験にてよく取り上げられるので、しっかりポイントを押さえておきましょう。
今回は、
(1)全体の傾向
(2)里親委託について
(3)母子生活支援施設について
という3点を切り口に、まとめてみました。
全体の傾向
(1)社会的養護の対象児童全体
まずは全体の数を見てみましょう。
平成25年(2013年)時点で、日本の社会的養護の対象児童は約48,000人です。日本の子ども(未成年)の数はざっくり2000万人くらいなので、割合としては、0.2%くらいです。
施設・委託別では、児童養護施設が最も多く30,000人弱となっており、群を抜いて多いです。
※図は、いずれも児童養護施設入所児童等調査の結果(平成25年2月1日現在) より一部切り取り
ちなみに、前回(平成20年)調査からの変化としては、全体の数が400人程度減っていますが、大きくは変わっていないといえるでしょう。
なお、平均年齢は、里親委託児が9.9歳、養護施設児が11.2歳となっています。
(2)委託の経路
どこから養護されることになったか、という委託の経路については、里親/施設を問わず、「家庭から」が最も多くなっています。
それ以外のパターンとしては、年齢が上がって乳児院→児童養護施設のように施設を移ったり、施設から里親委託に変更になったりといったものがあげられます。
(3)委託の発生理由
理由分類が多く、細かく見るといろいろ違うのですが、里親/施設を問わず、大きく分類すると、虐待が原因の割合が最も高くなっています。
具体的には、「父の放任・怠だ」「母の放任・怠だ」「父の虐待・酷使」「母の虐待・酷使」「棄児」「養育拒否」といった要因が割合の多くを占めています。
また、その他に目立つのが、「母の精神疾患等」という理由。乳児院などでは、この理由が最も多くなっています。
虐待経験のある子ども、という切り口で見ると、どの施設/委託でも30%以上の子どもが「虐待経験あり」になっています。というか、乳児院と里親委託時以外は、なんと50%を超える子どもが、虐待経験あり。これはなかなかショッキングですね。
(3)障害のある子どもの割合
2016年前期の筆記試験にも出題された、障害のある子どもの割合です。
ざっくり見ると、どの施設/委託でも、約20%〜の子どもが障害ありとなっています。子どもの障害が「育てにくさ」につながっている可能性が高いということですね。
児童自立支援施設で40%を超えているというのは驚きですね。
また、この障害のある子どもの割合ですが、前回調査より数値が高くなっている(ただし乳児院を除く)というのも印象的な点です。
里親委託について
(1)全体の数
里親家庭の総数は、全国で3,481世帯。委託されている子どもは4,534人です。5年前の調査では里親委託されている子どもは3,600人ほどだったので、少しずつ規模は大きくなっています。
ただし、児童養護施設で養護されている子ども約30,000人と、一桁違います。一応、国の方針としては、施設養護より家庭養護(里親委託など)を推進と言ってはいるのですが、なかなか簡単には進まないのでしょうね。
(2)里親委託申し込みの理由
なぜ里親委託に申し込んだのか、という質問に対しての回答は下の図のとおりです。
理由は「児童福祉への理解から」が最も多く43.5%。前回の調査と比べると、「養子を得たいため」の割合が下がり、「児童福祉への理解から」が上がっているのだそうです。
里親委託に申し込んでからの期間を見てみても、5年未満の割合が最も高く、最近里親を始めた方が多くなっています。
この、最近里親になった方と、理由を「児童福祉への理解から」と答えた方はおそらく重なりがあるでしょう。
日本で「実子以外の子どもを育てる」というと、長らく「家を継ぐための養子縁組」というイメージが強かったのではないかと思います。そこから、だんだんと社会的養護(実の親が育てることが難しい子どもを社会で育てる)の意識が高まってきているのが、データにも現れてきている気がしますね。
(3)里親の年齢層
里親登録している夫婦の年齢を見てみると、50代、60代の順で多くなっています。
また、前回調査と比べると、50代が減り60代が増えています。だんだんと高齢化しているということが言えますね。
ちなみに、試験で出題されるかどうかはわかりませんが、データを見ていて興味深かったのは、就業している里親のうち、「宗教家」の割合が10%程度を占めていること。
詳しくはわかりませんが、おそらく、教会の神父さん、牧師さん、お寺の住職さんなどが含まれるのではないかと思います。
特にキリスト教については、保育原理や社会的養護で出てくる石井亮一(滝乃川学園を設立)や石井十次(日本初の孤児院を作った)が教徒であるなど、日本の児童福祉の歴史に大きな影響を与えているので、今現在もそういう傾向があるのかもしれません。
母子生活支援施設について
母子生活支援施設は、児童福祉法で定められた児童福祉施設のひとつで、子育て中のシングルマザーや、母親のみで子育てをしている状況にある(配偶者のDVから逃れるため、など)母子が入所し、生活や心身についてのサポートを受けながら暮らすことができる施設です。
入所世帯(母子)数は 3,725 世帯で、前回調査の 4,056世帯より少し減少しています。
母子生活支援施設とは | 全母協 - 社会福祉法人 全国社会福祉協議会・全国母子生活支援施設協議会
施設入所理由
母子生活支援施設入所の理由として最も多いのは、「配偶者からの暴力」で、全体の45%を占めています。
なお、DV(Domestic Violence、家庭内暴力)の認知件数(警察が把握した件数)は近年ずっと増加傾向です。やはり大きな社会問題であることがわかりますね。
入所期間
施設に入所している期間を見ると、「1年未満」が最も多く40%弱です。
DVが原因で入所している割合が高いことを考えると、離婚調停がまとまるまでのあいだ入所、というケースも多いのかもしれません。
就業状況
入所しているお母さんの就業状況を見ると、以下のようになっています。
・全体の60%以上が働いている
・しかし、全体の(働いているうちの、ではありません!)50%が日雇い・パートなどの非正規雇用
というあたりが重要な点かと思います。
年間所得金額についても日本の家庭の平均(?)に比べてだいぶ低い、平均172.3万円となっています。
海外では、生活が苦しいのは失業中だから、つまり仕事がないから、というケースが多いのですが、日本のひとり親世帯については、多くの場合仕事にはついています。しかし、女性が子育てをしながら働ける職種が限られ、条件のよくない非正規雇用などにつくことになるケースが多いというのが問題です。
簡単に解決できることではありませんが、最近政府が「働き方改革」の旗印のもとで進めている、同一労働同一賃金化(正規・非正規などの雇用形態によらず、同じ仕事をするなら同じ賃金を払うこと)で、改善されるとよいですね。
さいごに
今回は、
(1)全体の傾向
(2)里親委託について
(3)母子生活支援施設について
という切り口でポイントを絞って紹介しましたが、できれば厚労省がまとめている調査結果の概要版については、ざっと目を通しておくのが良いかと思います。
養護問題(実の親に養育されるのが適切でない家庭があるなどの問題)や、ひとり親家庭が経済的に困窮しやすいといった問題は、保育士の仕事とも無関係ではありません。
現在の社会にどんな問題があるのか、日々キャッチアップしていくようにしたいですね。
ではでは!
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著者プロフィール
- 東大卒イクメンパパ
- フローレンスで働く東大卒のパパ社員です。3歳の娘、0歳の息子に奥さんともども毎日楽しく振り回されています。いろいろありまして、保育士試験を受験することになりました。東大受験のあらゆるノウハウを駆使して(?)試験合格を目指しつつ、ポイントをブログにまとめて、同じように保育士試験を受験する方を応援していきます!働きながら、育児しながら試験勉強がんばります!