目的は、児童虐待を減らすこと。2016年(平成28年)の児童福祉法改正内容まとめ(2)

目的は、児童虐待を減らすこと。2016年(平成28年)の児童福祉法改正内容まとめ(2)

こんにちは。東大卒イクメンパパです。
イクメンです。イケメンではありません。

前回に引き続き、児童福祉法改正の内容についてです。

※前回の記事はこちら

目的は、児童虐待を減らすこと。2016年の児童福祉法改正内容まとめ(1)

以下の法改正の目的のうち、

(1)妊産婦の支援体制を強めることで、虐待発生を防ぐ
(2)児童虐待が発生した際に、今より迅速・的確に対応できるようにする
(3)虐待を受けた子どもの自立支援を強化する
(4)児童福祉の理念の明確化

今回は(3)(4)について説明します。

③虐待を受けた子どもの自立支援

3つ目のポイントは、実際に虐待が発生してしまった後、その被害を受けた子どものケアについてです。

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まずは、児童相談所の役割として、里親委託を推進するというもの。
社会的養護についての記事でも触れましたが、大方針として、保護が必要な子どもは、まず家庭養護(里親など、実際の家庭環境に近い保護)を優先し、その措置がとれない場合は施設養護(児童養護施設など、施設での保護)をおこなう、というのが国の方針。
その方針をより具体的に取り組みに落としたということですね。


それから自立援助ホームにいられる期間を長くしたというのもポイントです。
これまでは原則として20歳までしかいられませんでしたが、大学在学中であれば、22歳まで自立援助ホームにいられるようになりました。

ちなみに自立援助ホームは、なんらかの理由で家庭にいることができなくなった子どもが暮らす施設で、児童自立生活援助事業という制度によって成り立っているものです。詳しくはこちら。

自立援助ホームとは | 全国自立援助ホーム協議会

④理念の明確化

これまでの①-③が具体的な施策についてですが、そのほかに、今回の法改正には「児童福祉法の理念の明確化」も含まれています。

具体的には、

(1)家庭養護の推進
(2)親権者の「度を超したしつけの防止」

などがあげられます。

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(1)家庭養護の推進

被虐待児の自立支援の中で、里親委託の推進がありましたが、この「家庭養護の推進」は、今回の法改正の「大方針」と言ってもよいのではないかと思います。

実際に「児童福祉法の一部を改正する法律案の概要」の中でも、

国・地方公共団体は、保護者を支援するとともに、家庭と同様の環境における児童の養育を推進するものとする。

という記載があり、児童福祉法の法律条文のなかでも、家庭と同様の環境における養育(=家庭養護)を優先するということが明記されました。

また、検討規定(これから検討する内容)には、

施行後速やかに、要保護児童の保護措置に係る手続における裁判所の関与の在り方、特別養子縁組制度の利用促進の在り方を検討する。

という記載もあります(太字は筆者)。

特別養子縁組は、里親よりさらに一歩進んだもので、実の親に保護されることが難しい子どもを、別の夫婦に引き渡し、新しく法律上の親子関係を作るというもの。

こういったさまざまなかたちで、家庭養護を今よりもすすめていく、というのが今回の法改正内容から読み取れます。

(2)親権者の「度を超したしつけの防止」

今回の法改正内容には、

親権者は、児童のしつけに際して、監護・教育に必要な範囲を超えて児童を懲戒してはならない旨を明記。

というものが含まれています。

児童虐待が疑われる家庭で、よく保護者が主張するのは「これはしつけである」ということ。
そのように言われて、明確に虐待だと指摘することができず、なかなか子どもを助けることができない、というのは、おそらくそれなりにあることなのではないかと想像します。

今回の「度を超したしつけの防止」は、明確に基準などがあるわけではありませんが、そういった現状をどうにか改善していこうという意図がこめられているのではないかと思います。

まとめ

長くなりましたが、まとめましょう。今回の児童福祉法改正の内容は以下のとおりです。

(1)妊産婦の支援体制を強めることで、虐待発生を防ぐ

具体的には
→母子健康包括支援センターを置き、関係機関との連携を強化

(2)児童虐待が発生した際に、今より迅速・的確に対応できるようにする

具体的には
→東京23区に児童相談所を設置可能とする
→児童相談所の役割に「弁護士の設置またはそれに準ずる措置」を追加し、法的な支援を強化する

(3)虐待を受けた子どもの自立支援を強化する

具体的には
→里親委託の推進を児童相談所の役割に加える
→自立支援ホームに大学卒業まで在籍できるようにする

(4)児童福祉の理念の明確化

具体的には
→里親委託強化など、家庭養護の推進
→度を超したしつけの防止を明記

なんといっても、自分で資料を見てみるのが、一番記憶に残りやすいと思うので、細かい部分は、ぜひ厚生労働省の概要資料を読んでみてください。

児童福祉法の一部を改正する法律案の概要

つぶやき

いまどのように法律や制度が変わっているかというのは、世の中の流れを如実に反映していてとても興味深いです。今回の児童福祉法改正で、児童虐待が減り、虐待を受けた子どもも健やかに育っていける社会に近づくといいですね。

ではでは!

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著者プロフィール

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東大卒イクメンパパ
フローレンスで働く東大卒のパパ社員です。3歳の娘、0歳の息子に奥さんともども毎日楽しく振り回されています。いろいろありまして、保育士試験を受験することになりました。東大受験のあらゆるノウハウを駆使して(?)試験合格を目指しつつ、ポイントをブログにまとめて、同じように保育士試験を受験する方を応援していきます!働きながら、育児しながら試験勉強がんばります!

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