もうすぐ制度発足から100年。保育士試験にも出る「民生委員・児童委員」って何?のまとめ

もうすぐ制度発足から100年。保育士試験にも出る「民生委員・児童委員」って何?のまとめ

こんにちは。東大卒イクメンパパです。

イクメンです。イケメンではありません。

さて今回は、社会福祉や児童家庭福祉で出題される、民生委員・児童委員についてまとめてみました。民生委員は前身の制度ができてから来年でちょうど100年。次の保育士試験でも取り上げられるかも?


民生委員とは?

まずは民生委員について見てみましょう。民生委員は、民生委員法という法律で定められた、ボランティアで働く地方公務員です。

法律の中で定められた位置づけから、主なところをピックアップすると以下のとおり。

・市町村・特別区の中で活動する
・都道府県知事が推薦し、厚生労働大臣が委嘱(任せる)する
・無給である
・任期は三年(そのまま継続することもある)
・都道府県知事の指揮監督を受ける

推薦は都道府県知事、任命するのは大臣なので、国や都道府県単位で何かするのかなと思いきや、実際の活動は市町村・特別区単位というあたりが、あれ?となりやすいところかと思います。

無給のボランティアとして公的な仕事をするというのもポイントですね。


民生委員は困っている人と行政サービスの「つなぎ役」

民生委員が具体的にどのような活動をしているかは、保育士試験では細かく触れられることがなく、テキストなどを読んでもイメージがわきづらいのではないかと思います(僕がそうだったので)。

そのあたりは、全国の民生委員・児童委員の集まりである全国民生委員児童委員連合会のサイトにわかりやすく書いてあります。

民生委員・児童委員は、自らも地域住民の一員として、それぞれが担当する区域において、住民の生活上のさまざまな相談に応じ、行政をはじめ適切な支援やサービスへの「つなぎ役」としての役割を果たすとともに、高齢者や障がい者世帯の見守りや安否確認などにも重要な役割を果たしています。

全国民生委員児童委員連合会サイトより引用)

『行政をはじめ適切な支援やサービスへの「つなぎ役」』という表現がポイントなのではないかと思います。

言い換えると、行政の支援を必要とする人を見つけ、そういった人たちに行政のサービスを紹介して助ける、という感じですね。

そのために具体的にどんなことをしているかというのも、民生委員・児童委員の活動例というページにわかりやすく書いてあります。

・高齢者、障害者世帯の訪問
・子ども通学の見守り、通学路のパトロール
・災害時の要援助者(高齢者や障害者)の支援態勢づくり
・高齢者向け/子育て世帯向けサロンの運営協力
・学校行事への参加、課題のある家庭への訪問支援
・行政から依頼された各種調査
・地域の人々からのさまざまな相談対応

といったことが主な活動のようです。

戸別訪問やサロン、子ども通学の見守りといった、地域の人々とのさまざまな「接点」を持ち、そこから支援を必要としていそうな人を見つける。そして相談にのったり、行政のサービスにつなげる……ということをやっているわけですね。


児童委員:民生委員の「子ども向けの活動」の部分

さて、次は民生委員とセットで出てくることが多い児童委員についてです。

児童委員は、児童福祉法で定められた役職なのですが、「民生委員は児童委員を兼ねる」ものとされているので、民生委員と児童委員はイコール(同じ)であると考えてよいと思います。

なぜわざわざ児童委員という役職を作っているかというと、「子どもの福祉が特段重要である」ということを法律上明らかに書いておきたかったからなのではないかと思います。

あくまで、僕の解釈なので、このあたり「本当はこうだよ」というのが別にあれば教えていただきたいところですが……

児童委員が具体的にどんな活動をするかについては、先ほど民生委員・児童委員の活動例のところで書いた民生委員の活動内容のうち、子どもや子育て家庭向けの活動が児童委員の仕事、と考えればよいでしょう。


主任児童委員は現場で働きつつつなぎ役もする

児童委員に関して、試験で出題されるのは、主任児童委員という役職についてです。

児童福祉法の記載だと、各児童委員と各種児童福祉に関する機関(児童相談所などだと思います)をつなげる役割、という感じです。

これだと管理職っぽい感じに見えますが、必ずしもそういうわけではないようです。

厚生労働省の民生委員・児童委員についてというページによると、主任児童委員は、児童委員(民生委員)の中でも、児童に関することを専門的に担当する、という記載になっています。

なので、主任児童委員は、民生委員・児童委員の中でも、児童に特化した活動をし、現場に行くだけでなく関係機関とのつながりも持つ、という感じに理解しておくとよいのではないかと思います。

ちなみに、全国民生委員児童委員連合会のサイトによれば、民生委員・児童委員の数は全国で約23万人、そしてそのうち約2万1千人が主任児童委員として活動しているようです。


民生委員の前身である済世顧問制度・方面委員制度

さて、タイトルにあるように、来年2017年は、民生委員ができて100周年ということらしいのですが、どういうことか歴史を見てみましょう。

民生委員の先駆けは、大正6年(1917年)に岡山県でできた済世顧問制度という制度です。

これは、当時の岡山県知事笹井信一がドイツのエルバーフェルト市の制度をまねて始めたもので、地域の貧民の相談に乗ることを主としたものでした。

ちなみに、大正天皇が笹井知事に「岡山県の貧しい人々のようすはどうか?」と尋ねられたことが制度を作るきっかけだったのだとか。

岡山は石井十次による日本初の孤児院など、いろいろと福祉の活動の先駆けとなる例が多いですね。

ただし厳密には、この済世顧問制度そのものが、民生委員の前身というわけではありません。

済世顧問制度ができたその翌年、大正7年(2018年)には、大阪府で方面委員制度という制度ができます。これは当時の林市蔵府知事が始めたもの。こちらもドイツ・エルバーフェルト市の制度をモデルにしつつ、先行していた済世顧問制度を参考にしてできた制度です。

この方面委員制度が国の制度となって広まり、それが今の民生委員制度に改められたのです。

なので大きな流れとしては、済世顧問制度→方面委員制度→民生委員制度という流れで制度ができてきたと理解すればよいでしょう。

今回のまとめ

・民生委員は「困っている人を行政のサービスにつなげる」役割のボランティア公務員

・児童委員は民生委員と同じだが、子ども向けの活動を特に行う

・済世顧問制度→方面委員制度→民生委員・児童委員制度

つぶやき

民生委員・児童委員は、保育士試験のテキストだと、けっこう説明が抽象的でわかりづらいんですよね。

特に「民生委員は児童委員を兼ねる」とか言われると、「いきなり児童委員になる人はいないってこと?」「活動内容はどう分かれるんだろう?」みたいに混乱しがちです。

というわけで今回はいろいろ調べてみて、自分でもすっきりしました(笑)

普段の生活の中で民生委員や児童委員の方と会う機会は、自分の場合これまでありませんが、地域の子育てサロンに参加したり、子どもが学校に通うようになれば、そういった機会が出てくるのかなあと思います。

いつか自分にも身近なものになるかもしれないですね。

ではでは!

読んでいただいた方へ

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著者プロフィール

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東大卒イクメンパパ
フローレンスで働く東大卒のパパ社員です。3歳の娘、0歳の息子に奥さんともども毎日楽しく振り回されています。いろいろありまして、保育士試験を受験することになりました。東大受験のあらゆるノウハウを駆使して(?)試験合格を目指しつつ、ポイントをブログにまとめて、同じように保育士試験を受験する方を応援していきます!働きながら、育児しながら試験勉強がんばります!

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