「私も通ってきた道だから」は通用しない。チームで理想の保育を実現しよう。

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[シリーズ「シンカする保育×安全」の記事の一覧]
[第1回はこちら▶保育士は言わない「危ないから遊んじゃダメ!」という一言。安全と豊かな保育を両立する方法論とは。
[第2回はこちら▶「保育士さんって子どもと遊んでいるだけ?」そんな思いの裏に、保育の真髄があった。


安全でのびやかな保育は、ひとりでは実現できない。

ーこれまで、安全とのびやかな保育を両立する方法について聞いてきましたが、現場では「忙しくて、実現は難しい」という声も聞こえてきそうです。

遠藤:確かにその通りです。昔、八王子で保育園の園長をしていたんですね。その保育園では、病児保育を試みたり、24時間保育を試みたり、右往左往しながら運営をしていました。

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深夜にお子さんを親御さんに引き渡した後、次の日の朝すぐにお子さんをお預かりすることもありました。自分が園に泊まりこんで、3時間しか寝れないということもありました。結果的に、どの取り組みもうまくいきませんでした。一人で出来ることには限界があり、「理想の保育を実現したい」と思っても保育ではなく「運営」でつまづいていたのです。

保育現場を救うのはチームワークとマネジメント。

ーひとりでがんばろうと思っても、理想の保育は実現できないのですね。では、どうやって…?

遠藤:チームでよりよい保育を実現していくことです。

一つ例をあげます。新人のA先生はたくさんの製作を抱えていました。そこで、先輩のB先生に助けを求めたところ、「私も通ってきた道だから」と言われてしまいました。その結果、A先生は持ち帰りが続き、睡眠不足が原因で事故が起きてしまいました。

こういった状況は「新人だから」とか「私も通ってきた道だから」と放置されている場合があります。これはまさに、保育ではなく、仕事の分担の問題(マネジメントの課題)で、例えば主任が、A先生と、B先生に適切に仕事を振り分けていれば事故は起きなかったはずです。このように、保育を、ビジネスの考え方でひもとき、保育以外の課題をクリアした上で、専門的な保育理論を身につけることで、「安全でのびやかな保育」は実現できます。

「子どもたちの命を預かっている」という保育士の想いを形にするお手伝いを。

ーありがとうございます。それでは最後に、遠藤さんのこれからの目標を教えて下さい。

遠藤:子どもたちがのびやかに育つ保育環境づくり、というのは僕も含め保育者共通の目標です。それに加えて、保育における安全と、命の重みについても伝えていきたいと思っています。

保育園で園長していた時に、目の前でお子さんが亡くなりました。救命救急の講師を務めており、職員や親御さんに、「子どもたちに何かあったら、勇気を持って心肺蘇生法をやりましょう、そうしたら助かります」とお伝えしていました。
しかし、実際に子どもが心肺停止に至ったとき、命を助けることは出来ませんでした。

そのあとも職員は普段通りの保育を続けてくれましたし、保護者の方からは「保育の仕事を続けてください」と、背中を押していただきました。しかし保育者として、目の前の子どもを助けられなかったという責任を、強く感じ、保育中に命を落とす子どもがいなくなるように伝えていかなくてはいけない、と考えました。それで現在の活動をしています。

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これからも、「子どもたちの命を預かっている」という意識が、行動として落とし込まれるように、お手伝いしたいと思っています。そして、子どもたちがのびやかに遊び、先生たちも「保育は楽しい」、と言ってくれること。社会からも、「保育士って素敵な仕事だね」と言われるようにしたいと思っています。

(文責:山崎岳)


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スゴいい保育編集部
「スゴいい保育」を通じて保育という仕事の素晴らしさを伝えていくことにチャレンジするチーム。日本中の色んな「スゴい!」「いい!」保育を日々探し、みなさんに紹介します。

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